2016.10.19号
「調達購買改革を巡る誤解 その5」

アジルアソシエイツでは、メールマガジン「目指せ!購買改革!!」を発行中(隔週/無料)です。ぜひお申込下さい。
メールマガジンの新規購読申込のページへ

このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

──────────────────────────────────
        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2016. 10. 19 ─-

┏┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◆┃ INDEX
┗┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
☆今週のメッセージ「調達購買改革を巡る誤解 その5」
☆2016年下期の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の日程のお知らせ

□■………………………………………………………………………………………
■ 今週のメッセージ「調達購買改革を巡る誤解 その5」
□■………………………………………………………………………………………

その5.「競争化」=「コスト削減」の誤解

過去四回で調達購買改革を巡る様々な誤解について取上げてきましたが、今回はその
最終回です。「競争化」について取上げます。

どこの企業もしくは公共のどんなバイヤーや契約担当者でも2社以上のサプライヤを競わ
せることは当たり前のようにやっているでしょう。いわゆる競争入札、入札、相見積、コンペ、
ソーシング、等々様々な呼び方がありますし多少手法も異なりますが、基本的には2社以上
のサプライヤを競わせるいわゆる「競争化」という購買手法の基本になります。
この購買手法の基本となる「競争化」はバイヤーや契約担当者だけでなく全社員に対して
徹底させるように、全社員の購買規則である購買規程にも「相見積」「コンペ」の徹底を徹底
している企業は多いです。つまり購買部門だけでなく、全社の支出管理、購買管理の基本的
なルールと言えます。

しかし、競争化が必ずしもコスト削減につながるかというとそうでもありません。単に見かけ
上のコスト削減でしかなく実際にはコストが上がってしまった、ということも少なくありません。
例えば一時期の公共情報システム開発案件で一般競争入札を行いサプライヤを選定した
ものの、最終的に「動かないシステム」ばかりになってしまい、「安物買いの銭失い」状態に
なったという話はその典型的な事例です。これも比べられないものを無理やり比べようとして、
結局は立ち行かなくなり、高くついてしまったという事例と言えます。

それでは「比較できない」「競争させられない」ことの理由はなんでしょうか。ようするに1社
特命にならざるを得ない理由です。

まず最初に思いつくのは、例えばユニークな技術やソリューションを含む製品サービス
でしょう。ユニークなモノであり、ここから買うしかないという理由になります。しかしよく考える
と、このようなユニークなサービスや技術がそこここに存在する、というのも考え難いこと
です。

他にも「比べられない」ことの様々な理由が考えられます。

例えば、比較するサプライヤを探していない、探す時間がない。
切替えに時間や手間やコストがかかるので切替えられない、もしくは切替えをあきらめて
しまう。これもよく聞かれる話です。
次は、仕様が固まっていないので特定者しかできないということ。特定者は多くの場合で
既存のサプライヤになります。
あとは、例えば美味しい商売でないので特定の会社しかやりたがらない、というのも特命
の理由としてあげられるでしょう。

このように考えると理由は様々ですが身の回りの案件でも比べられないものが意外と多い
ことがわかります。もちろんその理由によって、探していない、とか仕様が固まっていない、
明確でないなどはやり方によっては競争させることが可能です。

調達購買の仕事は、最適なサプライヤと適正な価格決定なので、もし競争化しなくても最適
なサプライヤを選定し、適正な価格であれば問題ありません。ですから新しいサプライヤを
探して競争できるようにする以外にも、コスト分析を行って妥当性を検証し適正価格を担保
させる等のやり方もあります。いずれにしても様々な場面で柔軟に対応すべきということで
しょう。

先の公共調達の事例などは、競争させるよりも一社指定でプロジェクト全体のコストを如何
に抑制し円滑なプロジェクト推進を目指していくべきかが重要であったにも関わらず、無理
に比較しようとするから無理がでてきたと言えます。無理に比べることによって最悪の場合
には安かろう悪かろうという状態に陥ります。

またこれはオークションなどでよくある事例ですが、4社候補がいたとしても1社が圧倒的な
競争力を持つような場合に、1社しか入札ができず結果的に高止まりしてしまったということ
もあり得ます。これも無理に競争させることの弊害の一つです。

仕様が固まっていない、明確でない場合での競争化の場合は、既存サプライヤしか仕様を
理解できず、また他サプライヤはどうしても保険をかけて高い見積りを出す傾向となりがち
です。こういうケースでは多くの場合、最安値サプライヤは既存サプライヤになってしまい
ます。しかし最安値と思って選定したものの、仕様変更でどんどんコストが上がり、結局
「あのコンペは何だったんだろう」と言うような事態に陥ることも多々見受けられます。
これでは競争化により「見かけ上のコスト削減」だけ実現しましたということになりかねま
せん。

もっと酷いケースだとここに発注したいと想定しているサプライヤがいて、例えば要求元が
裏でシナリオを作り最安値見積りなるようにする、もっと言えばそれにバイヤーも協力して
いるという状況です。それでも(一応)「相見積りとってるからルール通りだし問題ないでしょ」
、という言い訳作りにつながります。これを私は精神的癒着状態と表現しています。

ここに上げたようにやはり「競争化」できないものは多くありますし、それを無理に競争化する
と、見かけ上のコスト削減だけで実際の「コスト削減」にはつながらない、ということがわかる
でしょう。

それではどうすればいいでしょうか。まずは「競争化に適した品目」と「そうでない品目」を
層別化することです。また競争化に適しているにも関わらずサプライヤを探していなくて
競争化できないようなものについては競争環境をつくりだすことがバイヤーの役割です。
これは今回の「誤解シリーズ」に共通する「何もかも同じキーワードで括る調達購買改革の
間違え」という考え方につながります。

またもう一つ推進しなければならない取組みは「価格妥当性の評価」です。

競争化しているから価格の妥当性評価はやらなくても良い、ではダメです。自身が購入する
ものがどのようなコスト構造や市況環境を持ち様々な方法で評価をやっても高すぎない
(安すぎない)ことを検証しなければなりません。公共調達の予定価格制度のような取組み
ですが、このような視点は欠かせません。そうでなければ調達購買の仕事は相見積を取る
だけの誰でもできる(将来的にはロボットにも)仕事となってしまうでしょう。

次回は、今回の「誤解シリーズ」の総括をしていきます。


当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

□■………………………………………………………………………………………
■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」日程のお知らせ
□■………………………………………………………………………………………

2016年下期(9月-2017/3月)の「調達・購買トレーニング・セミナー」の開催日程を
お知らせいたします。
http://www.agile-associates.com/2016/08/20162016920173.html
お早目のお申し込みをお待ちしております。

【基礎セミナー】
  『調達・購買業務基礎』
      2016年  9月15日(木)
      2016年 11月18日(金)
      2017年  3月17日(金)    
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「アジルアソシエイツの名物セミナーです。
   購買担当者としての心構えから技法・手法の基礎を学べます!」
     
  『経費削減・間接材購買基礎』
     2017年 1月20日(金)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「他にはない間接材購買に特化したセミナーです。」

詳細はトレーニング・セミナーページまで
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

【現場学セミナー】
  『調達・購買人材向け交渉力』
     2016年 8月25日(木)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  『中堅バイヤー育成』
     2016年 11月10日(木)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  『調達・購買部門改革推進者』
     2016年12月15日(木)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  『調達・購買部門のファンダメンタルスキル』
  ご要望により新しいプログラムを作りました。
     2017年 2月10日(金)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html
 
  『コスト削減手法と戦略ソーシング』
     2017年 2月16日(木)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

  『経費削減・間接材購買業務改革』
     2016年 9月 8日(木)
     2017年 3月 9日(木)
  お申込・詳細はこちら
  http://www.agile-associates.com/train/train.html

詳細はトレーニング・セミナーページまで

会場は全て東京23区内(新宿または東京駅近辺)を予定しています。

ぜひともご参加ご検討ください。

どのようなセミナーが自社や自社のバイヤーに向いているか、不明な方はお問合せください。
お問合せ先はこちら
info-ag@agile-associates.com

企業の個別研修もお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
info-ag@agile-associates.com


□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
■ご感想・リクエストなどはこちらまで
 mailto:info-ag@agile-associates.com

■購読・バックナンバーはこちら
 →http://www.agile-associates.com/magazine_index.html

■購読解除はこちら
 →https://s.blayn.jp/bm/p/aa/fw.php?i=agile&c=1&n=5258

株式会社アジルアソシエイツ
 URL:http://www.agile-associates.com/