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「目指せ!購買改革!!」
〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2013.09.17 ─
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☆今週のメッセージ「成長企業におけるサプライヤマネジメント」
☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
☆コラム「設計魂と購買魂」−垣根を破るエンジニアの物語ー再掲
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■ 今週のメッセージ「成長企業におけるサプライヤマネジメント」
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先日2020年の東京オリンピックの開催が決定しました。実に喜ばしいことです。
「オリンピックよりも前にやることがあるでしょ。」とか「消費税増税のよい理由になった
だけ」とかのご批判もありますが、それらを含めても日本のためにも自分のためにも
よかったと感じております。
何故なら「目標ができたから」です。この目標というモノは本当に重要なものです。
何でもよいのですが、オリンピック開催という目標は分かり易いですし、前向きな目標
であり、しかも7年後という近未来であるが故により一層意味があるのではないかと
考えます。
考えてみたらバブル崩壊後の20年間、日本の社会や企業はこの「前向き」な目標が
なかったと言っても言い過ぎではないでしょう。こういう時代だからこそ「前向き」で
ちょっと頑張れば達成できそうな共通の目標が大切だと考えます。
「目標」を持つということは日本全体だけでなく、会社としても組織としても個人にとっても
重要です。特にベンチャー企業と言われる所謂成長企業においては常に高い目標を
持ち続けることが企業の推進力になります。多くの場合、企業は起業後しばらくは
高い成長を続けます。また、この時期は売上を上げることが目標になり、推進力になり
ます。しかし、一方で売上は拡大するもののそのペースは次第に落ちていくものです。
成長企業はここで新たな新市場や新事業の開拓で新たな目標を作り成長を続けようと
します。もしくは収益力を向上させていこうとやや軌道修正をする企業もあります。
こういう成長後期の企業にとって調達・購買とはどういう意味を持つでしょうか。
成長企業にとって今までは売上を増やすことが第一の目標だったので、多くの企業で
人員、人材は不足しています。そのため、これらの人材を補強するために外の力を使う
ことが多くなります。つまり成長企業は多くの大企業に比較して重要な機能を外部に
アウトソーシングしていることが多いです。外部のアウトソーシング先は彼らにとってみる
と一緒に成長するためのパートナーです。所謂蜜月な関係が自然と築かれています。
中にはアウトソーシング先が大企業であり、初期は市場価格よりも高いコストを強いられて
いる場合もありますが、多くは自然に集約され成長企業同士の付き合いになり
「同じ釜の飯」の同志といった位置づけになります。
一方で、この蜜月な関係も一端成長期から転換期になるとその関係がやや微妙になって
きます。今まではとにかく拡大するビジネスへの対応が中心であり、ともすれば相手に
急激な人員拡大、設備投資、資金調達を強いてきた訳ですが、それがいきなり
「とにかくコストを下げろ。」となるのです。
そこでいきなり他社とのコンペが始まります。しかし今までの長い取引の中でサプライヤの
切替えはとてもリスクが高いので次は「他社以下にコストを下げてくれ」ということになります。
これが一回だけでなく何度も続きます。こういう成長企業でも以前はこう言っていました。
「安かろう悪かろうはダメ。サービスの品質が弊社の売り物だ、と。」
サプライヤはそれでも今までやってこれたのは、この成長企業のおかげということもあった
訳ですから無理なコストダウンにも協力します。
「多少の無理はしても成長企業のおかげなのだから、」と。でもサプライヤの企業内には
「ちょっと無理な依頼が多すぎるのでは」、という声も聞かれるようになってきます。
成長企業は無理な要請でもあのサプライヤなら聞いてもらえるもの、と勘違いするように
なります。一方でサプライヤは疑心暗鬼になってきます。成長企業は何を考えているの
だろう、と。成長企業のビジネスが伸びているときはなんでもできます。サプライヤにとって
多少のコストダウンの吸収も可能です。しかしそれが低成長に移行し、それも何度も、
ということになると変わってきます。成長企業は我々のことを「単なる下請け業者」としか
考えていない。口では色々言っているけど、それが本音、と。
こうなるとサプライヤ側でも、相手がその気なら、こっちもそれなりの対応をしていこう、
となります。
こういうケースに陥らないようにするためにはどうしたら良いでしょうか。まずはサプライヤの
声を聞くことです。これは成長企業に限るものではありませんが、VOS(ボイスオブサプライヤ)
です。自分達が聞いても本音が聞けないのであれば、外部コンサルに依頼すれば良いのです。
彼らが何を望んで、何を期待しているのか、買い手企業は意外と分かっていません。
サプライヤの声を聞くことで彼らが何を期待しているのかを理解し、それに答えることが重要です。
サプライヤの声を聞くと彼らは実はそんなに難しいことを期待しているのではないことが分かる
かも知れません。彼らは「自分達をパートナーとして扱ってほしい」だけということも少なくない
でしょう。成長企業のトップから「あなた達をパートナーとして考えています。今までの成長は
あなた達なくしてありません。有難うございます。」の一言がありさえすれば良いのかも
しれません。
これは、買い手企業、サプライヤが同じ目標を共有することに他なりません。このように考えると
成長企業にとってサプライヤマネジメントとは、何か難しいマネジメントをすることではなく、単に
同じ目標を持ってそれを達成することなのかもしれません。
当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。
(野町 直弘)
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■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
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皆様のお申込をお待ちしております。
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info-ag@agile-associates.com
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■ コラム「設計魂と購買魂」−垣根を破るエンジニアの物語ー
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日経BP社のTech-onサイトに掲載されているコラムですが
改めて皆さんにここでご紹介させていただきます。
2009年に私が執筆しました開発部門と購買部門を巡る話ですが、
今再読しても古さを感じさせません。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081212/162766/
どうぞ楽しんでください。
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第8回「ゲストエンジニア制度という名の技術流出!」(その1)
「部品が組めねえよ!」
この物語の主人公である鈴木孝は,総合電気メーカー「霜月電機」の入社3年目の
エンジニアである。彼は現在新機種のデジタルカメラの躯体設計を担当している。
今回の設計は,鈴木が大部分の設計を担当した始めての商品開発であった。
霜月電機の新人は入社後,先輩エンジニアの手伝いから始め,半年経ったころから
やや軽めの新商品開発を主担当し,商品開発全般の流れを理解するのが決まりだった。
とはいえ,鈴木一人がすべての設計をしているわけではない。多くの部品メーカーの
エンジニアや設計派遣者と手分けしての作業であり,実際には鈴木が図面を出図する
ことはあまりないのが現状である。
何日間かの徹夜が続いたが,デジタルカメラ新機種の出図も終わり,実際の量産化を
想定してラインでの作業性などを検証するイベント,量産試作が始まる日になった。
量産試作に鈴木のような『商品担当』が立ち会うことはあまりない。鈴木もデスクで
資料整理をしていたが,お昼前のこと,大森工場生産課の内田主任から一本の電話
があった。
「鈴木さんか。部品番号52A70だけど,干渉しちゃって組めねえよ,緊急設変してくれ。
FAXで図面送るから,購買にも連絡して納期確認して連絡させろよ。どうすんだよ。
この新商品は来月から量産だぞ,分かってんのか!」
鈴木は初めて経験する事態と,内田の声に圧倒され反射的に謝った。
「すみません。分かりました。今日中に緊急設変と図面発行します。納期も購買の
田中さんに確認しておきます。」
「エンジニアがいない」
鈴木は電話を置くなり,黒須化工のゲストエンジニアである奥田を探した。対象部品
は黒須化工が製造を担当している部品だったからである。しかし行先表示板の奥田の
欄には「休暇7/15〜22」と書いてあった。開発が一段落したので早めの夏休みをとって
いるらしい。
「弱ったな,どうしよう」。鈴木は内田から送られてきたFAXを見た。FAXには黒線が
入っており「斜線部分が干渉,形状変更要」と書かれている。
通常,部品図の作成はほとんどゲストエンジニアに任せている。なぜかというと,
餅は餅屋であり,部品メーカーで問題なく製造可能な図面を描けるのは,他ならない
その部品メーカーのエンジニアだからだ。しかしもう一つ,別の理由もある。2000年以降,
設計者の新規採用が絞り込まれる一方,逆に海外向けの商品ラインアップは増えており,
全体的に設計する商品数が増えている。つまり,社内の設計者の絶対数が不足している
状況にあるからだ。
鈴木はFAXを見てこう思った。「簡単な形状変更だから大丈夫だな,よし自分で設変しよう」。
CADを立ち上げ,形状変更,図面と設変指示書をデータと文書で保存した。彼は先輩
エンジニアの佐藤をつかまえて事情を話し,サインをもらった。緊急設変の場合は,
マネジャー職のサインまでで発行してよいというルールになっている。「緊急」という印鑑を
押し社内便に載せる。工場だけでなく黒須化工と購買にも送付した。
一連の作業が終わって時計を見ると,午後3時だった。「さて,ようやく昼食だ」。鈴木は
社員食堂に向かった。
(次回へ続く)
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081212/162768/
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