2013.9.03号
「OJTで伝えるべきこと」

アジルアソシエイツでは、メールマガジン「目指せ!購買改革!!」を発行中(隔週/無料)です。ぜひお申込下さい。
メールマガジンの新規購読申込のページへ

このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

──────────────────────────────────
        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買改革最前線〜
─────────────────────────── 2013.09.03  ─

┏┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◆┃ INDEX
┗┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
☆今週のメッセージ「OJTで伝えるべきこと」
☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
☆コラム「設計魂と購買魂」−垣根を破るエンジニアの物語ー再掲

□■………………………………………………………………………………………
■ 今週のメッセージ「OJTで伝えるべきこと」
□■………………………………………………………………………………………

先日ある大手企業の調達部門の方の前でお話しをする機会をいただきました。
その会は「社内購買ネットワーク会」で「購買ネットワーク会」に参加され刺激を受けられた
方が発起人となり、社内の調達部門の人を集めて定期的に勉強会をやられている
とのことでした。
こういう会を始められていること自体感心しますし、それを継続していることも素晴らしいです。
しかし私がいっそう感心したのは参加者の年代でした。それは、一部の若手社員だけでなく、
中堅層、それからマネジメント層の方々も参加されていたことです。
多くの勉強会や交流会ではどうしても参加者は若手中心になりがちです。中堅層、
マネジメント層の方がこういう会に進んで参加されている様子には非常に感銘を受けました。

当日は私の経験談などを中心に日頃あまり話さないような本音トーク話をする
と共にケーススタディをしてもらいました。
ケーススタディはOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)を題材にしたものです。このケースは
ある企業からの依頼で作成したものですが、事情があってお蔵入りしていました。
今回は若手、中堅、マネジメントの方々が参加されるということを伺っていたので、いい機会
なので試験的に実施させていただきました。

チームは若手チーム、中堅チーム、マネジメントチームに分かれて、それぞれ同じケース
に対して別の課題を与えグループで討議をしてもらいました。こういうチーム構成は研修
や勉強会ではできないことです。

若手チームにはどのようなOJTを受けたいか、OJTで何を教えて欲しいか、という課題を
与え、中堅・マネジメントチームにはタイプの違う若手社員にどのようなOJTをすべきか、
という課題を与えました。

興味深かったのは図らずも両方のチームから近い意見が出てきたことです。
若手チームは仕事のやり方そのものよりも先輩社員の経験談や調達業務に取り組む
姿勢を教えて欲しいという意見があり、OJTを実施する側はやはり業務そのものよりも
調達業務に関心を持たせることがより重要だという意見です。

90年代後半から2000年代にかけて日本企業のOJTは崩壊したと言われています。
それはミドルマネジメントがプレイングマネジャー化し、教える側が機能しなくなった
ことが主原因と言われています。OJTは以前は人材育成制度の体系化を進められない
日本企業の都合のよい言い訳でした。(「教育は基本的にはOJTです」という言い訳)
それが近年OJT自体が機能しなくなってきており、迷える若手が増えているように感じます。
実際に社内で自分がやっているやり方が正しいのか、どうかを確認するために購買
ネットワーク会のような社外の交流会に参加される方も少なくありません。

従来のOJTは業務のやり方を学ぶだけでなく、明文化できないモノを教える役割が
ありました。明文化できるコトを伝えることは難しくありません。一方で明文化できない
ことを伝えることは人対人の付き合いや対話の中で行わざるを得ません。

私はOJTで伝えるべきことは「その業務(調達業務)の奥深さや面白さ」だと考えます。
先のケーススタディでもあるマネジメントの方からこういうご意見がありました。
「いくら伝えるべきことでも、相手がそれを受け付ける土壌ができていないと伝えても効果
はない。まずは相手がこういうことを知りたいという態度にさせることが重要。」正にその
通りです。若手に対しては自分がやっている業務がどういうもので、どのような奥深さ
面白さがあるのか、仕事の上っ面だけでなく奥深い部分にどのような深層があるのか
このようなことを伝えることで、興味を惹くことが必要なのでしょう。

OJTで伝えるべきことは、明文化できない思いや感情、経験談であるべきです。
その思いや感情、経験談を伝えることで、その業務の奥深さや面白さをまずは知って
もらうことが重要でなないでしょうか。

当メルマガでご意見、ご質問、ご要望などございましたら
info-ag@agile-associates.comまでご連絡ください。
遅くなるかもしれませんが、必ず私(野町)からご連絡させていただきます。
よろしくお願い申し上げます。

(野町 直弘)

□■………………………………………………………………………………………
■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
□ 
■□………………………………………………………………………………………

皆様のお申込をお待ちしております。

<<基礎セミナー>>
 『調達・購買業務基礎』
     参加費:33,000円(税別)
     日 程: 上期 2013年 9月13日(金)
           第一回 2013年11月15日(金)
           第二回 2014年 1月17日(金)
第三回 2014年 3月14日(金)
      お申込・詳細はこちら
      http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「アジルアソシエイツの名物セミナーです。
   購買担当者としての心構えから技法・手法の基礎を学べます!」

 『経費削減・間接材購買入門』
     参加費:33,000円(税別)
     日 程: 第一回 2013年 10月11日(金)
第二回 2014年 3月20日(木)(21日金が休日の為、日程変更)
      お申込・詳細はこちら
      http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「経費購買、間接材購買の草分け的存在が教えるコスト削減のコツが
   評判です!」

<<現場学セミナー>>
 『コスト削減手法と戦略ソーシング』
     参加費:47,000円(税別)
     日 程: 2013年 12月13日(金)
      お申込・詳細はこちら
      http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「一日でコスト削減手法の実際が学べます」

 『調達・購買・資材・契約部門の「中堅社員(バイヤー)のための育成研修』
     参加費:47,000円(税別)
     日 程: 2013年 11月22日(金)
      お申込・詳細はこちら
      http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「購買経験3-10年程度の中堅バイヤー向けのプログラムです!」

 『経費削減・間接材・サービス商材購買業務改革』
     参加費:47,000円(税別)
     日 程: 上期 2013年 9月6日(金)
下期 2014年2月21日(金)
      お申込・詳細はこちら
      http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「経費削減活動や間接材購買部門の立上げなどのノウハウが学べます」
  
<<購買業務改革リーダー養成セミナー>>
 『調達・購買・資材・契約部門長向け「調達・購買改革リーダー研修」』
     参加費:60,000円(税別)
     日 程:2013年 12月6日(金)
      お申込・詳細はこちら
      http://www.agile-associates.com/train/train.html
  「経営に貢献する調達・購買部門づくりのためのコツをお教えします」
企業の個別研修をお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
info-ag@agile-associates.com

□■………………………………………………………………………………
■ コラム「設計魂と購買魂」−垣根を破るエンジニアの物語ー
□■………………………………………………………………………………

日経BP社のTech-onサイトに掲載されているコラムですが
改めて皆さんにここでご紹介させていただきます。
2009年に私が執筆しました開発部門と購買部門を巡る話ですが、
今再読しても古さを感じさせません。
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081212/162766/

どうぞ楽しんでください。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
第7回「海外バイヤーと渡り合う(3)」

「C.P.M.って何か分かるか?」

 田中がおもむろに鈴木の方に顔を向け,全く違った話をする。
 「鈴木さん,このMikeの名前の後にあるC.P.M.っていうのは,何のことか分かるか?」
 「いや分かりません。それも気になっていたんですけど。Ph. D.みたいなものですか?」
 「まあそんなものだな…」
 その後,田中は米国の購買職の話を始めた。

 米国では購買職は日本の公認会計士や弁護士のように専門職として認められている。
C.P.M.とはCertified Purchasing Managementの略で,購買管理士の団体ISM
(Institute for Supply Management)の認定するプロフェッショナル購買職の資格である。
ISMの会員数は4万人以上。C.P.Mは全世界で4万人以上の資格所持者がいるものの,
日本では20人程度にすぎず,C.P.Mに対応する国内の資格もない。また米国ではC.P.O
.(Chief Procurement Officer)というC.F.Oのような職制が多くの製造業に存在しており,
C.F.O.に次ぐ社内的な地位がある。一番驚いたのが購買職の給与だ。C.P.O.の
平均給与は約4000万円,C.P.O.の次の購買部長の平均給与は約2000万円。
こんなにもらっている日本人はいない。

 国が変われば状況は変わるものだ,と鈴木は思った。そう言えばエンジニアも,
日本では社長になるケースがあまり多くない。そういう意味ではエンジニアもバイヤーも
似た立場なのだな,とも思った。

 田中は続ける。
 「俺が何を言いたいか,分かるか? 要するに米国では購買職とは専門職で,
一匹狼的なヤツが多い。もっと言うとプライドもめちゃくちゃ高い。中にはこのMike
のように,訳の分からないヤツもいる。
 ただ,ヤツらは理屈をつけるのだけはうまいし,それに短期間に所属を転々としている
から,限られた期間にできるだけの成果を上げることに全精力を傾ける。今回の場合は
品質確保という逆のケースだけどな」。

 「田中さん,要するに厄介なヤツにつかまっちゃったってことですか?」
 「まあ,そういうことだな」。
 「田中さん,助けてくださいよ」。
 「お前,お願いする人を間違えてないか? そういうのはまずはお前のところの上司
に相談する話だろ」。
 「…」。
 「まあいい。今回はバイヤーでないと解決できないかもしれないからな。今何時だ?」。
 「11時ちょっと前です」。
 「違うよ,ミズーリ工場だ」。
 「えっと,ちょっと分かりませんが,昼であることは確かです」。
 「ちょっと待ってろ」

 田中はおもむろに机の中から名刺を探し出し,受話器を取り上げた。
 「Hello, May I talk to Mr.…」流暢な英語を使っている。

 10分程度話したあと電話を切り,田中が言う。
 「黒須化成の現地法人で対応できそうだ。ただ樹脂の材料が違うから検討が必要
だと言っている。図面あったら,この名刺あてにメールを送ってくれ。Mikeには俺が
仁義を切っておく」。

「いったい,何だったのだろう!」

 数週間が過ぎた。Mikeからはその後何の連絡もない。もちろん設計変更依頼書も
届いていない。
 鈴木はちょっと心配になった。そろそろ米国での一次試作が始まるころだからだ。
 そんなことを考えていたところ,先輩エンジニアの佐藤が聞いてきた。
 「鈴木,そう言えば,米国の生産対応の話どうなった? Mike何とかとかいう
バイヤーが文句付けてきていたよな」。鈴木は田中に相談した翌日,佐藤には状況を
説明していた。
 佐藤も忙しい中,やはり一次試作の件を気にしていたのだろう。
 「ちょっと連絡して確かめてみてくれ」。佐藤が言う。
 嫌だなあ,と思いながら鈴木は社内電話帳でMike Petersonの社内電話番号を調べ,
現地がビジネス時間であることを確かめた上で電話をしてみた。

 「ツー,ツー,カチャ,This Number is not available now…」無機質なアナウンスだけ
が流れた。「どうなっているんだろう。番号を間違えたかな」。何度確認をして
かけ直しても,同じ無機質なアナウンスしかでない。
 「仕方がない。メールしてみよう」。しかし,数回メールをしても,どれも不達メッセージ
だけが戻ってくる。

 「もしかして,転職したとか?」 鈴木は購買の田中に電話をかけた。Mikeのことを
聞くと,田中はよどみなく答えた。
 「あー,あいつ1週間前に退職したよ。今度は医薬品メーカーの購買部に行った
みたいだね。例の件は黒須の現法が対応していて問題ないみたいだぜ。よかったな。
鈴木さんよ」。

 鈴木は思った。「いったい,何だったのだろう…」。

(次回へ続く)

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20081212/162768/

□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
■ご感想・リクエストなどはこちらまで
 mailto:info-ag@agile-associates.com

■購読・バックナンバーはこちら
 →http://www.agile-associates.com/magazine_index.html

■購読解除はこちら
 →https://s.blayn.jp/bm/p/aa/fw.php?i=agile&c=1&n=5258

株式会社アジルアソシエイツ
 URL:http://www.agile-associates.com/