2012.4.16号
「何かおかしくないか?昨今の日本の調達・購買(その1)/アンケートご協力のお願い」

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アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
─────────────────────────── 2012.04.16 ─

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 ☆今週のメッセージVol.1
     「何かおかしくないか?昨今の日本の調達・購買(その1)」
 ☆アンケートご協力のお願い
 ☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ
 
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■ 今週のメッセージVol.1
□    「何かおかしくないか?昨今の日本の調達・購買(その1)」
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前回まで三回に亘って企業戦略と調達・購買戦略について書いてきました。

そのきっかけにもなったのは私の問題意識からです。
私の手元に2つの記事があります。一つは日経新聞の
『「競り下げ」調達拡大、高額事業も対象に、政府、歳出削減アピール。』
という記事です。

「競り下げ」調達拡大の記事は、
『競り下げ調達を試験的に少額案件で政府が行ってきたが効果がありそう
なので、高額案件にも活用したい」という内容』です。
私は競り下げ(所謂リバースオークション)自体を否定するつもりは
ありません。しかし競り下げ調達をやったから調達価格が下がる、
コスト削減につながる、というのは全くあり得ない話です。記事を読むと
開始価格から比べて平均18%強のコスト削減ができた、とありますが、
開始価格と比べること自体ナンセンスです。開始価格は入札の上限値ですので、
そもそも開始価格以上の価格で落札することは一般的なルールでは
ありえないからです。
もし比較するのであれば、通常シールド入札(一回限りの封止入札)や
入札以外の方法(例えばフェースツーフェースでの価格交渉)での
決定価格との比較をしなければなりません。

私はおそらく日本で一番最初にオークションを経験したバイヤーです。
それは10数年前に遡ります。私が外資系金融会社の調達部門にいた時に
グローバルでこういうツールがあるから使ってみろ、と言われたのが
競り下げシステムでした。最初はもちろん反対しました。
「こういうやり方は日本には合わない」と。しかし、海外からあまりにも
強く言われたので試しに何件かの案件で活用してみました。
そこでびっくりしたのは、圧倒的な業務効率化でした。
今までは自分の仕事は複数のサプライヤさんと交渉を進めながら
安値でよい買いものをすることだと思っていましたが、
オークションは交渉自体する必要がなくなるのです。
バイヤーの業務は画期的に変わっていくな、というのがその当時の感想です。
バイヤーの仕事は競り下げ以前の競争環境の整備であり、
サプライヤとの関係性つくりであり、社内ユーザーとの調整に
シフトしていくと感じたのです。
この点から考えると交渉に十分な時間がかけられない、
十分な交渉スキルがない人達にとっては競り下げツールの活用は
たいへん効果的と言えます。

そういう点からは公共調達に競り下げ方式を活用することは一定の効果が
あると言えます。しかし、何でも競り下げにしよう、競り下げにすれば
コストが下がる筈、というのはたいへん危険な考え方です。
以前書いたように入札や相見積り、競合は誰でもできます。
だから皆がそういう風潮や手法に流れています。

以前トヨタ自動車の元購買部長の方が講演でおっしゃっていました。
最近のバイヤーは比較見積に流れがちで、自分が購入する品目の価値や
コストの妥当性をチェックできなくなっている、と。
日本で一番優れていると言われるトヨタ自動車の調達部門でも
こういうことが起きているのです。

公共調達には予定価格制というものがあります。私はこの制度は多くの
民間企業には欠けている素晴らしい制度だと思います。
自分が担当している買いものについてそれがどの程度のコストになるのか、
またそれをいくらで買うことが目標になるのか、過去の実績や市況の動向、
需給の動向を踏まえて精査する能力、これはバイヤーにとって欠かせない
能力です。
自分が買うものを知る、自分が買う相手先(サプライヤの状況)を知る、
自分が買うものがどうやって作られるのかを知る、こんなこと、
あたり前じゃないですか。
競り下げも含む入札はそんなこと知らない人でもできます。
自分が買っているものをしらないで勝手にサプライヤ同志が競い合って
価格が知らない間に決まっている。競り下げはあくまでも調達・購買の
一手法にしかすぎません。米国ISMではオークションの役割はもう終わった、
とまで言われています。
私はそこまでは言いませんが、競り下げ絶対論的な論調には疑問を
感じざるを得ません。

次回はやはり私に問題意識を感じさせた別の記事について書きます。

(野町 直弘)

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■ 「震災前後の調達・購買・資材部門の変化」について
   アンケートご協力のお願い
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東日本大震災、福島原発問題、タイ洪水等、、
2011年は調達・購買・資材部門やそこに従事する担当者の方々には
試練の年でした。一方で調達・購買やサプライチェーンが
ここまで注目された年も近年にはなかったと記憶しております。
昨年は購買ネットワーク会の同志から
「大震災の時に日本の調達・購買・資材部門がどう動いたか?」という視点で
ヒアリングさせていただき「大震災のとき!」という一冊の本を出版しました。
さて震災後1年が経ちましたが巷では「分散化」「可視化」「標準化」という
キーワードの元、購買調達部門の取組みに大きな変化があったという話を
よく聞きます。一方でいろいろな制約があり、それほど大きな変化が
おきていないという声も聞かれます。
他方で多くの方から
「ティア構造の見える化はどのレベルまで行えばよいでしょうか?」
「調達部門のBCPはどのような内容まで盛り込むべきでしょうか?」
などのご質問をうけることがあります。
全ての企業が「分散化」「可視化」「標準化」できる訳がありません。
では本当の実態はどうなのでしょうか?

アジルアソシエイツでは「日本企業の震災前後の調達・購買・資材部門の変化」
について調査を行い実態を浮き彫りにしていこうと考えています。
つきましては簡単なアンケート調査を実施したく考えておりますので
ご協力をお願い申し上げます。
http://enq-maker.com/9TVvwdd

今回は企業を対象としたアンケートではなく、購買部門に属する個人を
対象にしております。
企業の購買部門に属す方であればどなたでもお答えいただけますので
是非ともご協力お願い申し上げます。
調査結果は5月中にでも取りまとめ報告書を作成いたします。
http://enq-maker.com/9TVvwdd

よろしくお願い申し上げます。

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■ 「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ

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2012年4月、5月、6月開催のプログラムをご案内いたします。
皆様のお申込をお待ちしております。

【基礎セミナー】
 製造業「調達・購買業務基礎」セミナー
  講師:野町直弘
  日程:2012年 4月 18日(水)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

【現場学セミナー】
 「中堅バイヤー育成」セミナー
  講師:野町直弘
  日程:2012年 5月 23日(水)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html
 
 「コスト削減の基本と見積査定入門」セミナー
  講師:坂口孝則
  日程:2012年 6月 19日(火)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html
    
皆様のお申込をお待ちしております。

企業の個別研修をお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
info-ag@agile-associates.com

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