2011.6.27号
「ボーナスのあと〜バイヤーとしての新しい生き方を提案する」

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アジルアソシエイツの坂口孝則が送る 
〜調達購買マネジメントの深層と真相と心操〜
─────────────────────────── 2011.06.27 ─

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 ☆今週のコラム
  『ボーナスのあと〜バイヤーとしての新しい生き方を提案する』
 ☆アジルレポートVol.18発行のお知らせ 
 ☆7月、8月開催「調達・購買人材向トレーニングセミナー」のお知らせ

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■ ☆今週のコラム
□ 『ボーナスのあと〜バイヤーとしての新しい生き方を提案する』

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2011年の夏ボーナスが支給された(らしい)。
この数年サラリーパーソンの平均給与は下がり続け、平成21年には
406万円になった。成果報酬が色濃く反映されることになったとはいえ、
全体的には憂き目が続いている。

「俺が成し遂げたコスト低減はこんなもんじゃない」。
ボーナスの時期になると、以前勤めていた会社の同僚がこんなことを
言っていたのを思い出す。大幅なコスト低減を達成したものの、
一体どれだけが賞与や給与に反映されているのか。
むしろ、上司にゴマをすっている奴や、報告が上手かったり、
アピール上手の奴ばかりが評価を上げているのではないか?
1億円のコスト低減は、つまりその会社が払っていたかもしれない1億円の
コストを削減することだ。少なくとも、部員はそう教えられている。
それであれば、その半分くらい、5千万円くらいは俺に報酬として
くれたっていいじゃないか、と思うのは自然な心情だろう。

私は常に、会社がどのように報うのであれ、自己の向上に取り組むべきだ、
と言ってきた。しかし、会社から受け取る報酬もやはり重要な
モチベーションのファクターであることは間違いない。
そこで今回は、やや衒学的なれど、バイヤーの新しい生き方を考えてみたい。

それは、バイヤーの法人化の実現だ。
メディアが報じている通り、所得税の見直しが進んでいる。
法人税の見直しとセットで消費税の増率が議論され、それは所得税の議論も
沸き起こしている。
新しい税の形はまだ見えてこないが、いまのところ所得税、住民税、
社会保障費を足し合わせるとサラリーパーソンは収入の平均25−30%を
国に納めていることになる。
サラリーパーソンは奴隷である、というセンテンスの背景には、
サラリーパーソンのほとんどが税金の自己申告したことがなく、
源泉徴収という名の搾取構造に組み込まれている、という現状がある。
(なお、私は必ずしも「サラリーパーソンは奴隷である」という主張には
賛成していない)

それに対し、自営業者などは、所得を自己申告し、どれだけ税金を払うか
(経費を計上するか)をコントロールしている。むろん、自営業者の
ハイリスクな状況を知らないわけではない。ただ懸命に頑張っている
自営業者がいる一方で、社会保障や年金を踏み倒す事業主が
莫大に存在することも事実だ。
そこで考えてみたいものが、バイヤー法人化の実現である。

Aさんというバイヤーがいるとする。
半導体の購買担当で、入社7年目。サプライヤーとの人脈も多く、製品知識も
営業マンと対等に交渉できるほどはある。毎年定期的なコスト低減の実績もあり、
さらに向上心も高い。Aさんは、現在の職務を継続しながら、
「A株式会社」を立ち上げ、属していた企業と再度契約を結ぶのだ。
一体こうすることによって何が変わるのだろうか?
まず社長になることができる。1名だけの会社であるが、名刺には
「代表取締役社長」と印刷でき、奥さんを秘書として雇うことも可能となる。
そして、企業とその「A株式会社」との契約は、業務委託契約ということに
なるだろう。企業は、その「A株式会社」の口座に毎月支払いをし、Aさんは
あくまでもそのA株式会社から報酬という形でお金を受け取ることになる。

一人が高額の報酬を受け取っていては、日本の税法では累進課税で税率が
高くなるので、奥さんと報酬を二分することにより、税率を抑えることも
可能となる(もちろん、奥さんが実質的な労働者であることは必須だ。
それでなければ、単なる脱税になる)。
企業にとってみても、一従業員を雇用することで発生する莫大なコストを
削減することができるようになる。

あの、わけのわからない、保養地などに代表される福利厚生も削減でき、
親睦目的の運動会などというムダ金も削減可能であり、場合によっては
オフィススペースという空間維持費も削減できる。さらに大きいのは、
企業が現状半額負担している社会保障費だ。そして、企業と個人にとって
一番大きいことは、従属関係から、企業間契約という対等な関係に
シフトすることだ。

コスト低減のプロジェクトに参加し、1千万円の報酬を受け取ることも
可能であろうし、あるいは現在の購買担当職務を続けながら、
コスト低減率に応じた報酬を受け取ることも可能になるだろう。
そして納税の時期には、自分がバイヤーとして成長するために使った費用や、
電車代から消耗品購入に至るまで、総点検し、まさにコスト意識の高い
ビジネスパーソンに生まれ変わることができるだろう。
パソコンや通勤に使うクルマだって、経費として計上できる可能性もある。
会社に依存せずに考えるようになること自体、すごいことだ。
しかも、これは「集から個へ」「ノマド」「自立した個人へ」といった
テーゼとも合致する。

もちろん、多くの問題があることは分かっている。
評価の問題がこれまで以上にクローズアップされるであろうし、
企業に属すことの安心感が損なわれることも否定できない。
しかし、それでもなお、バイヤー個人の法人が生まれ出せば、
バイヤーの職業観は一変せざるをえない。コスト低減と購買戦略に対して、
敏感になり、試行錯誤を今まで以上に熱心にやるだろう。
真の意味での自立が可能となる。そして間違いなく、個人法人のバイヤーは
スキルを開発し、なによりも自由を得ることができるだろう。

この文章は、フリーエージェントをむやみやたらに賛美するものでは決してない。
バイヤーという、最もスキル開発が遅れがちな領域であり、
かつ多くの人たちが悩んでいる状況を打破するための、「突飛な」提案だった。
加えるならば、各社がコスト低減を強力に進めつつも、なかなか効果が出ずに
手法を模索中の現在、このような個人の法人(フリー)のバイヤーを生み出し、
各企業に紹介するということ自体がビジネスになりうるのではないかとすら
私は考えている。

転職が一般的になる、と80年代に予言した人は笑われた。そこから20年経って、
転職は「当たり前」のことになった。
おそらく、フリー化が一般的になる、と予言すれば、笑われるだろう。
しかし、フリー化の時代は近い、と私は思う。
アメリカでは、3000〜4000万人の人びとが、すでにフリーエージェントとして
活躍しているという(統計にバラつきがあるのはご容赦を)。
その意味で、私は「自由」というものを誤解していた。「自由」とは
獲得するものだと、ずっと思っていた。
しかし、「自由」とは突然やってきて、私たちをさらっていくものだったのだ。

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■ ☆アジルレポートVol.18発行のお知らせ

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2011年5月に開催された第96回ISM (Institute For Supply Management:
米国サプライマネジメント協会)年次総会で発表された、
各国・各企業の調達・購買界の動向と、今後の日本産業界における
調達・購買の動向やとるべき施策、そして新たな調達・購買部門の
役割について考察を行っています。

サプライチェーンにおける3つのトピックス:

 「確固としたグローバル調達構造の確立」
 「リーン生産方式の脱・脆弱化」
 「リスクマネジメント強化」

ごとに、年次総会で発表されたセッションを紹介します。

また、東日本大震災により、多くの課題に直面した日本の調達・購買部門の
課題に対する対応策を、弊社取締役の坂口が鋭い視点で書き下ろしています。

是非ご一読下さい

ダウンロードはこちらから
http://www.agile-associates.com/2011/06/vol18_lcc96ism.html

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■ ☆「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」のお知らせ

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2011年7月、8月の「調達・購買人材向けトレーニングセミナー」の
開催についてご案内させていただきます。

【現場学セミナー】
 「実践 サプライヤ評価とサプライヤマネジメント」セミナー
  2011年 7月 5日(火)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 「見積り査定、原価計算の基本」セミナー
  2011年 7月14日(木) <大阪開催>
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 「サプライヤ工場の見方、改善のやり方」セミナー
  2011年 7月15日(金) <大阪開催>
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 「コスト削減手法と戦略ソーシング」セミナー
  2011年 7月15日(金)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 「調達・購買人材向け交渉力」セミナー
  2011年 8月30日(火)
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

【購買業務改革リーダー養成セミナー】
 「間接材・サービス商材購買業務改革」セミナー
  2011年 7月22日(金)、27日(水) 2日間コース <日程変更しました>
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

 「調達・購買業務リーダー養成」セミナー
  2011年 8月19、26日(金) 2日間コース
    お申込・詳細はこちら
    http://www.agile-associates.com/training.html

皆様のお申込をお待ちしております。

企業の個別研修をお引き受けします。
ご依頼、ご質問等々は、次のメールアドレスまで!
info-ag@agile-associates.com

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