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アジルアソシエイツの坂口孝則が送る
〜調達購買マネジメントの深層と真相と心操〜
─────────────────────────── 2011.02.28 ─
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☆今週のコラム
「キュレーション時代に最高の調達・購買担当者を獲得する、
たった一つの冴えたやり方」
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■ ☆今週のコラム
□ 「キュレーション時代に最高の調達・購買担当者を獲得する、
■ たった一つの冴えたやり方」
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かつて、直属の上司に驚かれたことがある。
購買課のなかでの会議のこと。
何かの議題が挙がると、
「それって、こうらしいんですよ」と私が即答した。
違うある議題に関しても、
「ああ、それは機械開発部の設計の方がやっています」と答えた。
それは私の担当領域ではなかった。
また違う問題になれば、
「それは根深い問題のようで・・・」と説明まで加えてしまった。
その内容は、担当バイヤーが把握していたことよりも詳しいものだった。
そのうち「何かあったら、一度コイツに聞いてみろ」と噂が広まった。
はじまりはその数ヵ月後に遡る。
会社として色々なメーカーと関わることがある。
しかし、それぞれのメーカーと付き合うことはあっても、
メーカー担当のバイヤーや設計者の情報が、
他の社員と共有されることはほとんどなかった。
自分の担当しているサプライヤーにニュースがあったとして、
そのことを他のバイヤーに教えているだろうか。
いや、その必要性すら感じていないのではないか。
バイヤーでも設計者でもいい。分野や担当が異なる人々に、
広く自分が得た情報を共有する営みは残念ながら行われていない。
ナレッジポータルやらナレッジマネジメントやら、
そんなカタカナ用語が氾濫する時代においても
「隣の人は何をしているのかわからない」状況が瀰漫しているのである。
かつて、そのような状況に直面していた私たちの購買部と設計部は、
代表者が集まって全体会議を行うことになった。
そこで出てきたのは
「せめて最初にサプライヤー工場に行ったときの出張報告を皆で共有できないか」
というアイディアだった。
その出張報告をどこかに集めて情報を共有しよう、というところまで決まって
その会議は終わった。
私はその会議に参加していたので、率先し議事録を書き、
「どこかに集めて」というところを「必ず私に集めて」と書き換え、
全部門の全責任者に向けて送付した。
運の良いことに、大半の社員は「あえて議事録を訂正するほど熱心」ではないから、
そのまま私に情報が集まり出した。正直、設計者の出張報告は宝の山だった。
私はその山を占領することに成功した。
私がやったことは単にそれだけだったのである。
私はこのことから次のことを学んだ。
まずは議事録は自分で書くべきだということ。
次に、「自分にあることをしてほしければ、してほしいことを
素直に書いて皆に送付すればいい」ということだ。
情報が欲しければ「欲しい」と書いて送ればいい。
そして、それに自分の色を足して、全員に共有する。
2010年あたりから、このことを「キュレーション」と言い出した。
キュレーションとは、無数の情報を集めることだ。
そして、その情報の中から、有益なエッセンスのみを抽出したり、
自分なりに分析したロジックを公開したりすることだ。
あとは、
「なぜ自分が、社内情報のキュレーションを一手に引き受ける」資格があるのか、
を社内に納得させればいい。
どうすればよいのか。宣言することだ、と私は思う。
「私ならできます」と無根拠に言ってしまう。
そうすれば、周囲は「その人ならできる」と勘違いしだす。
それでいい、と私は思う。
たまに講演に呼ばれるときがある。
私はあるとき、バイヤーの方々に対して
「自分がすごく見えるような肩書きを自分で創り上げてそれを周囲に宣伝しろ」
と講演した。
「私なんて、調達・購買業務研究家などと語っているぞ」と。
すると、その数日後、
ある方は「自分も世界で唯一の『スペリアーウドゥンマテリアルバイヤー』
と自称し出しました」と連絡がきた。
グレイト!
ある方からは「会社随一の『しびれるPCバイヤー』と名乗りました」と。
グレイト!
自分がやりたいこと、やらせたいこと、呼んで欲しいこと。
そういうことは待つのではなく、自ら叫ぶのだ。
プロのバイヤーとして能動的に、やれることを宣伝するのだ。
話を意図的にずらしていく。
思うに、なぜ企業求人の調達・購買担当者の「応募資格」は、
かくもつまらないのか。
「交渉力のある人」
「図面の読める人」
「コミュニケーション能力のある人」
「ストレス耐性のある人」
などだ。せいぜい「新たなことに挑戦できる人」などである。
なぜ、
「すごい人材モトム!」くらい書けないのか?
「しびれる購買ができる人」くらい書けないのか?
「セクシーでドキドキさせる仕事ができる、破天荒なインパクトをもたらす人募集!」
くらい書けないのか?
購買部門で働いていることが「超高層ビルのきれいなオフィスで働いている
ファンドマネージャー」よりもカッコよくなってはいけない理由はない。
調達・購買担当者が、ファンドマネージャーやコンサルタントや
マーケッターよりもカッコ悪いというのは思い込みだ。
そして、まさに「株式会社金型板金鋳造製作所」で働いているバイヤーが、
最高にカッコいい職業に変更されなければならない。
購買を統括する「偉い」方からは様々な声が聞かれる。
「創意工夫で、購買業務を変えよう!」
「これまでの知識の蓄積をもとに、購買の情報を発信しよう!」
掛け声はよいのだが、残念ながらこう声高に叫ぶ人から、
創意工夫やオリジナリティは感じられない。おそらく、叫んでいる本人が
会社と組織と慣例にがんじがらめにされているからだろう。
キュレーション時代には、それを負うことを自ら宣言する必要がある。
そして、自己宣言とともに周囲を籠絡していく必要がある。
自ら声を上げて周囲の注目をひきつけ、それにより個人の評価をあげていくこと。
岡田斗司夫さんは、資本主義経済から、評価経済へ移行しつつあるといった。
その評価を能動的に獲得できる人材を確保すること。
そのために、過激ともいうべき発信を行うこと。
『キュレーション時代に最高の調達・購買担当者を獲得する、
たった一つの冴えたやり方』
について思うのは、たとえばそんなことだ。
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