第57回 胸痛と足の痺れ・・・

先日、胸痛と足の痺れを感じ、掛かり付けの病院に行きました。医師からいくつかのヒアリングを経た後、以下のような診断結果が下されました。
第一に胸痛と足の痺れが関連していると仮定すると、肺血栓塞栓症(元サッカー日本代表の高原直泰選手が患った病)の可能性が考えられ、第二に胸痛と足の痺れが関連していないと仮定すると、胸痛は胃酸による胃から食道にかけての炎症によるもので、足の痺れは肩こりによる神経もしくは血管の圧迫によるものと考えられる、とのことでした。
そこで、危険性の高い第一の仮説を検証するためにすぐさま血液検査を行い、後日改めて検査結果を聞きに行きました。
検査の結果、第二の仮設が有力だという結論に至り、薬を処方され、今では痛みも和らいできています。

ここで改めて考えてみると、医師はライフスタイル(喫煙状況や飲酒状況や睡眠時間や職務内容)、痛みや痺れを感じる箇所、間隔、頻度などのヒアリングと、血液検査の結果から無数にある病気から、ユニークに病気を特定しています。
名医は、あらゆる症例の詳細に関して認識しており、現象とその症例を紐づける(特定する)ことがウマイですよね。

数年前にナレッジマネジメントのコンサルティングプロジェクトを担当した際に、誰からも信頼されている製造現場のベテラン工場長(ノウハウ抽出対象者)がほろ酔いでこんな事を話していました。
「俺たちベテランは、引き出しの数が多い。そして、それを引き出すのがうまい。うまくは説明できないけどな!(笑)」
そのプロジェクトを通して、結局のところベテランは、無数にある現象と解に対して、優先順位ごとに抽出条件(絞り込み条件)が異なる中、それらを頭の中で無意識のうちにロジックを組んで、ユニークな解決策を導出していました。

医療、製造、コンサルティング、業界は違っても、頭に「名」がつく人たちは共通して、情報整理がウマイのではないかと感じています。皆さんの周りではどうでしょうか。

ちなみに、血液検査の結果は、
・肝臓障害の指標となるγ-GTの値
・尿酸値(痛風などの原因)の値
が高く、胸痛の原因はお酒で、飲み過ぎということで、医師からは、・・・。
後はご想像にお任せします。

2010年7月
中村