2010.1.29号
「良いコスト削減と悪いコスト削減/購買部門評価」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
────────────────────────── 2010.1.29────

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 ☆今週のメッセージVol.1「良いコスト削減と悪いコスト削減」
 ☆今週のメッセージVol.2「購買部門評価」

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■ ☆今週のメッセージVol.1「良いコスト削減と悪いコスト削減」
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先日「2010年を読み解く」会と題して購買ネットワーク会のメンバーを中心に
50名程度の人が集まった会が開催されました。
私もパネラー的な立場で参加させてもらったのですが、
いつもの購買ネットワーク会以上に各地方からの参加者も多く、
その熱心さには驚かされました。

その場でも話したのですが、2009年度の日本企業を一言で表現すると
私は「コスト削減」の年であったと思います。
過去に何度も不況の波はあったのですが、
これほど殆どの業種、規模の企業で同時不況になったことは記憶にありません。
そういう状況下でこれほど「コスト削減」に
多くの企業が力を注いだ年はなかったかもしれません。

先日もご紹介しましたが、
2009年度の調達・購買部門向けアンケート調査
(http://www.agile-associates.com/enquete091120/)によると
回答企業のなんと91%の企業が「全社コスト削減活動」に取り組んでいます。
このようにデータから見ても昨年は「コスト削減」の年であったことが窺えます。

しかし「コスト削減」には良いコスト削減と悪いコスト削減があります。

悪いコスト削減とは、
いわゆる企業を負のサイクルに落し入れるような活動を指します。
単なる予算一律カットや、サプライヤマネジメントがないままに
単に市場価格と比較するという論拠から
買い手という強い立場を利用した価格ネゴ、
このような活動は短期的には効果があがりますが、
社員のモチベーションを低下させ、サプライヤとの関係性つくりという点からも
負の影響をもたらします。
一方で良いコスト削減とは悪いコスト削減以外の取組みが上げられます。
買うということを技術と捉え、企業の力として開発、共有、定着を図る、
それによってサプライヤや経営者、ユーザーなどの
ステイクホルダーとの関係性を意図的に構築することは、
短期的には効果が少ないかもしれませんが、
中長期的には企業の耐力そのものにつながってきます。

そう考えてアンケート調査結果を読み取ると、
実はコスト削減と言っても悪いコスト削減が中心なのかな、
と思わざるを得ない点も多々あります。
例えば「全社コスト削減活動」の主管部署はほぼ半数の企業が
「経営企画部門」であり、購買部門は全社の一部門として活動しているだけ、
やっている施策は「既存サプライヤとの価格交渉」や「予算の一律削減」が
上位であり、効果が上がっている費用は従来型リストラの延長である
「人件費」「旅費交通費」等の内部費用が多くを占めている。
何なんだろう、と思ってしまいます。
企業における調達・購買部門への経営者からの期待は年々高まっているものの、
やはり期待に答えられていない実態が浮きぼりになっているようです。

しかし、昨年の「コスト削減」は当然のことながら、
良いコスト削減への取組みも多く試みられています。
冒頭の「2010年を読み解く」会で配られた
2009年の購買界の動きで多くでてきたキーワードが集中購買・共同購買です。
今までは考えられないような事業部が強い会社さんでも新たな試みとして
全社、グループ集中購買を進めようという試みが出始めています。
また、単に集中購買という域を超えて、
企業間の共同購買という仕組みつくりも試みられはじめました。
一時期脚光を浴びた開発購買も
技術職の方が購買部門へ配属されるという形で姿を変えてはいるものの、
技術に強い購買部門を目指した取組みが始められています。
また間接材購買における手法の開拓、
共有についても先進的な企業を始めとして積極的に取り組まれています。
こういう動きは大手企業だけではなく中堅企業においても
購買機能の強化、確立という形でスタートし始めています。

このように良いコスト削減の取組の事例も
だんだんと目立つようになってきました。

「集中購買なんて無理。集中購買したってコスト削減につながる訳ではない」
というようなご意見もあるかもしれませんが、
新しい仕組みを作ることは少なからず意味があることですし、
そういう取組みに対して謙虚に耳を傾け、支援・応援することが
私としても調達・購買界にとっても意味があることでしょう。

そして2010年は「コスト削減」の真価が問われる年です。
今まで取り組んできたコスト削減がよいコスト削減であれば、
2010年には大きな成果がでてきます。悪いコスト削減であれば長続きしません。
新しい基軸での競争が始まろうとしている今年には今までやってきた
「コスト削減」活動が間違っていなかったかどうかが見えてきます。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「購買部門評価」
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購買部門の評価について、お話させて頂きたいと思います。
皆様の会社では、どういった内容、基準で購買部門の評価をしているでしょうか。

私がコンサルティングの現場や営業活動の中でお聞きすると、
ほとんどお答えがコスト削減への貢献や達成度とお答えになります。

弊社で毎年行っているアンケート結果からも、
リーマンショック以降の経済不況の中で、
経営陣が購買部門に期待することの一番はコストの削減となっているように、
購買部門の目標がコスト削減となっているので、その評価しか行われていない、
とのお答えが非常に多いです。

しかし、更に詳細にお話を聞いていくと、
コスト削減額の指標がないという会社様が意外と多いことに驚きました。
コスト削減の実績をどう算出するかを部門として定義していなく、
各担当に任せている、という話をお聞きしたりもします。

しかし、コスト削減の実績だけを評価していていいのでしょうか。
私は購買部門評価について、以下の2点を考えています。
・短期的なコスト低減だけでなく、
 外部支出の中長期での最適化を図るための購買活動評価の重要性
・特に不正な支出、コンプライアンス、ルールの徹底など、
 購買部門における内部統制の観点からのモニタリングの重要性

コスト削減の評価だけでは、
損益に対する購買部門の貢献度しか見えてきていません。
しかし、内部統制の観点からのモニタリングを重視して考えていくと、
・総支出金額に占める購買部門扱い額の割合
・管理購買金額
・競争入札実施購入比率
・基本契約締結率

上記のような指標が挙げられると思います。

その他にもプロキュアメント業務の評価指標として
・購買担当者1人当りの購入件数
・発注リードタイム
・納期遅延率

上記のような指標も考えられると思います。

評価はモチベーションにつながります。
評価もされず、モチベーションが上がらなければ、
改善提案、改善の実施は行われていきません。

きちんとした評価基準、評価指標を持ち、評価を行っていくことが、
購買業務の改善につながっていくのではないでしょうか。

皆様も今一度、評価基準、評価指標について見直してみてはいかがでしょうか。

(藤田 和大)

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