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「目指せ!購買改革!!」
〜調達購買マネジメント最前線〜
────────────────────────── 2010.1.15────
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☆今週のメッセージVol.1「技術を買う」
☆今週のメッセージVol.2「サプライヤ評価とサプライヤ戦略」
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■ ☆今週のメッセージVol.1「技術を買う」
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「2013年住友ゴム工業が合成ゴムを使用しないタイヤを商品化」
「2014年三菱マテリアルが希土類(レアアース)をリサイクル事業化」
・・・
元旦の日経新聞「次の10年へ」という特集に掲載されていた記事です。
妙にリアリティが溢れる技術革新情報ですが、
多分各社が発表したR&D計画に基づいてまとめたものでしょう。
一年間の経済予測、技術予測、トレンド予測はよく特集されていますが
今年はこのように10年予測のような興味深い記事もよく見られます。
我々が意識しようがしまいが、
このように技術革新は気がついた時には進んでいるのです。
年頭挨拶でも述べましたが、
今年は日本企業にとって新しい競争の基軸が生まれてくるであろうと考えています。
つまり従来の枯れた技術で中国やインドなどとコスト競争をすることには限界があり、
電気自動車やロボット、バイオ、その他の新しい基軸で
勝負できる企業が勝ち組になるのです。
こういう時代には「買い控え」ではなく「良い買いモノ」が重要になるとも述べました。
それでは今までとは違う「良い買い物」とは何が上げられるでしょうか?
私はその一つが「技術のソーシング(買い物)」だと考えています。
最近「オープン・イノベーション」という考え方があります。
これは企業が研究開発を自社内で行う自前主義を脱して、
基礎研究を大学・公的機関が担い、その成果を産学連携でベンチャーが受け入れ、
ベンチャーが生み出した技術開発の成果を大企業が取り入れ、
ビジネスにつなげるというものであり、1980年代以降米国で盛んになった流れです。
日本企業においても最近は外部から技術を買う、
ということを戦略的に進めている企業も増えているようです。
技術や製品の複雑性は近年益々増えています。
そういう時代には全ての技術開発の自前主義が成り立たなくなっているからです。
今までは、「技術のソーシング」は製品を介して行うのであれば
バイヤーがサプライヤとの取引という形で行ってきたわけですが、
米国ではベンチャーを買収するという「企業のソーシング」という形で進んできました。
製品を買うのか、企業を買うのか、という違いはあれども
いずれにしても「技術のソーシング」と言えます。
何かを買うということでつきつめると
「技術」「生産力」「労働力」の三種類位しかないですし、
今後その中でも「技術」を買うというポーションが高まることは間違いありません。
友人のベンチャーキャピタリストから聞いたのですが、
ベンチャーの技術を大手企業と結びつける業務をしている
ナインシグマ(http://www.ninesigma.co.jp/index.html)
という企業もあるそうです。
友人曰く
「技術ベンチャーは売り込むのが上手くない。
“こういう技術がこういう企業のこういう製品に使えるのではないか”
というようなアプリケーションの想像力が欠如しているから。
むしろ大手企業の意識の高い研究者の方が、必要な技術を良く分かっている」
と言っていたことを思い出します。
ナインシグマ社は技術の良くわかる目利きがその仲介を行うことで
技術購買を支援しているのです。
このように技術を見極め、「良い買いモノ」をする能力は
バイヤーにとっても欠かせない能力になってくるでしょう。
バイヤーにとってのチャレンジになるのは間違いありません。
(野町 直弘)
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■ ☆今週のメッセージVol.2「サプライヤ評価とサプライヤ戦略」
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突然ですが、皆様の会社ではサプライヤ評価を実施していますか?
この質問には「当然している」と答える方が多いでしょう。
それでは質問を変えます。
「皆様の会社では定期的なサプライヤ評価を実施していますか?
また、定期的なサプライヤ評価結果が
サプライヤへの発注行動に結びついていますか?」
という質問ではどうでしょうか。
私が、多くのお客様やコンサルティングの現場を経ながら感じる課題の一つに
「サプライヤ評価とサプライヤ戦略が結びついていない」
ということがあげられます。
サプライヤ評価は、大きく「都度の案件ごとの評価」、
「定期的(四半期〜半年)に実施するサプライヤ評価」、
「新規サプライヤ評価」に分かれます。
本日、特に取り上げたいのが2番目の「定期的なサプライヤ評価」です。
直接材の購買部門では、
定期的なサプライヤ評価を行っているところは多いでしょう。
1年間または半年間の中で決められたサプライヤを
決められた軸で多面評価をしています。
昔であればQCDが一般的でしたが、
最近ではQCDDME(品質、価格、納期、開発、管理、環境)という
軸も加えながら評価を行っている企業も少なくありません。
しかしながら、このサプライヤ評価が毎年の発注行動に
結びついているかというとそうではありません。
それは、サプライヤ評価が「ISOの外注管理」としての
評価のみになってしまっている場合も少なくないからです。
例えば、年間のサプライヤ評価でA(優)〜C(可)という結果が出たとしましょう。
そこでA評価のサプライヤが次期以降優遇されるか、
また、C評価のサプライヤが次期以降冷遇されるかというと、
そこまで徹底できていない企業も少なくないでしょう。
むしろC評価のサプライヤに対して、改善提案を出すような勧告書を出して、
それで終了という場合も多いのではないでしょうか。
ISOの認証継続という観点だけで見ればそれでも問題ないかもしれません。
しかしながら、せっかく手間をかけて実施しているサプライヤ評価が
ISOの認証の為だけとなると、
バイヤー企業としてももったいないのではないでしょうか。
サプライヤ評価はサプライヤ戦略を作っていくための非常に重要な業務の一つです。
購買部の花形業務の一つとも言えるでしょう。
サプライヤを公正に評価し、差別化し、
優秀なサプライヤを囲い込む為の道筋を立てるためのもの、
それがサプライヤ評価です。
サプライヤ評価をサプライヤ戦略に結びつける事例として、
2010年1月の日経情報ストラテジーに掲載されたソニーの事例があります。
雑誌記事によると、ソニーでは過去の実績などを加味して、
3つの判断基準(価格、品質+サービス、生産能力)に照らし合わせながら
サプライヤをA〜Dランクに選別します。
このランク分けにより、サプライヤを絞り込みつつ、かつ、
優先的に取引を行うサプライヤを決定しています。
これらの活動により、2500社から1600社まで絞り込みを行っている、
と記事にはあります。
ソニーの事例はサプライヤの絞り込みを目的としたプロジェクトではありますが、
上に書いてきたサプライヤ評価とつながる部分が多々あります。
この活動をプロジェクトの活動として終わらせることなく、
定期的に実施する事で、「サプライヤ評価からサプライヤ戦略へ」という流れを
定着させることができるはずです。
サプライヤ評価は「評価の為の評価」、「ISOの為の評価」では
あまり意味がありません。
サプライヤ評価を「サプライヤ戦略」に結び付けていく事が、
購買活動の一つの重要な要素です。
(奥田 高太)
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