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「目指せ!購買改革!!」
〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2009.10.02 ────
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☆今週のメッセージVol.1「交流会からの刺激」
☆今週のメッセージVol.2「『納得解』を探そう」
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■ ☆今週のメッセージVol.1「交流会からの刺激」
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このメルマガや著書などでも何度も取り上げていますが、
調達・購買業務に携わる方、関連する方を対象に「購買ネットワーク会」という
交流会を2005年に立上げました。
この9月には何と22回目の会が実施され、毎回50〜60名の方が参加されるだけでなく、
毎回初参加の方もいまだに多くいらっしゃいます。
恐らく今までに300百人以上の方が参加されたのではないかと思います。
まさに日本最大の調達・購買コミュニティと言えるでしょう。
私自身としては、昨年までは殆ど皆勤だったのですが、
今年は色々と所用が重なり今回9月の会は、1月以来の久しぶりの参加となりました。
いつも参加するたびに感じるのですが、本当に良い刺激を受けることができます。
今回も久しぶりに参加して、改めて良い刺激を実感いたしました。
9月の会で私が受けた刺激、発見、興味深いこと等々を順不同で列挙してみます。
・モチベーションの高いバイヤーと低いバイヤーの落差が大きい。という悩み。
・(私も書いていますが)調達・購買関連の著書が増えているが、
商売につなげるためには本の書き方がポイント。という当たり前の事実
・体系化しない限り購買領域の発展はない。という素晴らしい気づき。
・優秀なバイヤーは明確な意思を持っている。という当たり前の事実。
項目毎に簡単に説明したいと思います。
・モチベーションの高いバイヤーと低いバイヤーの落差が大きい。という悩み。
どこの会社にも、そして当然ながら
購買ネットワーク会に参加しているようなバイヤーは、
非常にモチベーションが高いバイヤーです。
ようするに自ら何かを始めようというタイプの人たちです。
こういうタイプのバイヤーも実は世の中には意外に多く存在することは
ネットワーク会やコンサルの現場でも日々実感することができます。
しかし逆にモチベーションの低いバイヤーもそれ以上に多くいらっしゃいます。
先日のネットワーク会で話をしましたあるバイヤーさんは
そのことに悩みを感じていらっしゃいました。
この会に参加するとあまりに高いモチベーションを感じ、
会社に戻った時との落差が大きすぎる、と。
私もコンサルの現場で同じような悩みを感じることがあります。
そして数人の高いモチベーションのバイヤーの存在だけでは
調達・購買部門自体を変えることはなかなか難しいことも事実です。
やはり同じようなことで悩まれていらっしゃる方がいるものなんだ。
という気づきはある意味新鮮でした。
・(私も書いていますが)調達・購買関連の著書が増えているが、
商売につなげるためには本の書き方がポイント。という当たり前の事実
私は著書にしても、様々のレポート、メルマガの類であっても
「こうあるべき」ということをつらつらと書いても
あまり意味があることではないのでは、と日々考えています。
これは読者側の取組みにもつながるのですが、サプライヤ管理で
VOS(ボイス・オブ・サプライヤ)を収集することが「あるべき姿」です。
と言っても企業によってはそんな手法は不要である、なんてことは普通にあります。
逆に「こうあるべき」ということを列挙し出来ないことに力を注ぐことは
却って危険だと思います。
一方先日のネットワーク会である方が購買本についてプレゼンされたのですが、
その中で「あるべき論」をとうとうと述べている
(それも購買部門長や経営者層に対して)ような本であれば
上の方は具体的なやり方がわからないので当然のことながら、
その本を書いた方に相談に行く。
(つまり執筆を商売につなげたいのであれば「こうあるべき」を書くべき。)
というお話でした。
ご指摘ご尤もでして、考えてみれば私は現場経験を踏まえて
現場の方の悩み解決のために少しでもヒントになればと考えていたわけですが、
改めて「私は商売下手」だということを実感いたしました。
・体系化しない限り購買領域の発展はない。という素晴らしい気づき。
これも以前からの知り合いのバイヤーさんなのですが、
その方はMOT(Management of Technology)コースに通い始めたとのことでした。
お忙しい方なのに何故?と伺ったところ、
「日本の調達・購買は学問として体系化されていない。
やはり大学の講義としてカリキュラム化されるようにしていかないと
発展はないから。」ということでした。
私自身、このようなネットワーク会の立上げ、本の執筆、
コンサルティングのソリューション化、研修カリキュラム、
CPPの立上げ支援等を通じてまさに「体系化」していこうと思っていたのですが、
このバイヤーさんの言うようなアカデミックな世界に
布教していく活動は殆どできていませんでした。
このバイヤーさんのおっしゃる通りですし、
私も今後できればアカデミックな世界での活動もしていかなければならないな、
という気づきがありました。
・優秀なバイヤーは明確な意思を持っている。という当たり前の事実。
購買ネットワーク会ではほぼ毎回ケーススタディの演習をするのですが、
本当に「よくあるケース」をやっています。
ケースは現役バイヤーの方が作っているので「よくあるケース」であることも
当たり前と言えば当たり前なのです。
これらのケースはビジネススクール(私は通ったことがないので違うかもしれませんが)
で使われるケースよりもより実践的な現場に近いものと言えるでしょう。
これだけ実務的なケースをよく作れるな、という感心もありますが、
毎回毎回感じるのは答えの多様性、グループ毎、グループ内の各人毎に答えが
正反対などということも多くあります。
今回も私のグループ内ではだいたい答えがまとまったのですが、
他のグループで同様の回答をしたグループは皆無でした。
逆に言うと「そうかこういう考え方もあるのだな」という気づきばかりです。
それと共に今回改めて感じたのは
「明確な意思を持っている」バイヤーが多いということです。
何かを聞くと「私はこう思う。何故なら・・・」というように
皆さん答えてくれます。
仕事をしていて「私はAだと考えます。何故なら・・・」という
明確な意思を持っている方はなかなかいません。
私のようなコンサルタントとしても求められる能力ですが、
アジルの全員できているかというとできていないでしょう。
褒めすぎと言われるかもしれませんが、
今回は特にバイヤーの皆さんの明確な意思というものに改めて驚かされました。
今回は購買ネットワーク会からもらった多くの刺激について述べましたが、
「本当に凄い会だな」というのが結論ですね。
(野町 直弘)
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■ ☆今週のメッセージVol.2「『納得解』を探そう」
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「納得解」という言葉を初めて聞いたときに、胸にすっと入ってくる感じがしました。
この言葉は、リクルート出身で、
杉並区立和田中学校の元校長である藤原和博さんが考案したものです。
「正解」が1つしか存在しない問題というのはごく一部であって、
世の中の大半の問題はいろいろな解が存在します。
「納得解」というのは、そのさまざまな解の中で自分が納得し、
かつ関係する人たちを納得させられる解という定義です。
ここで納得解を考えるためにも、
「最適解」という用語を考えてみたいと思います。
私たちコンサルタントがクライアント企業から
しばしば求められるのは「最適解」です。
「うちの現状をみてもらって、
世の中の標準的なやり方や良いと思われるやり方と比較して、
現実的に実行できそうな施策を立てください」
というような感じでよく言われます。
この施策を立てるということが、
そのお客様にとっての「最適解」を導き出すということになります。
しかしながら、「最適解」とは何でしょうか?
クライアント企業にとっての「最適解」というのは
何となく定義があいまいな感じがします。
というのもクライアント企業のプロジェクトオーナー、リーダー、
メンバーの想い、またクライアント企業のその他利害関係者が
望むことというのは少しずつ違うからです。
これらの関係者の想いの最大公約数が最適解なのでしょうか?
それともプロジェクトオーナーの望みが最適解なのでしょうか?
「いや、ベクトル(プロジェクトの目的)を合わせれば
各個人の想いがそんなにズレることはない」と
反論される方もいらっしゃると思います。
しかし、私はプロジェクトの目的をいくら明確に定義したとしても、
個人個人の想いはズレますし、その結果、各個人が考える最適解も
少しずつズレがでてくるものだと感じています。
例えば、プロジェクトの目的が、
「コスト削減○%」・「業務フローの標準化」といった場合、
プロジェクトオーナーである経営層であれば、その目的の深層には、
できるだけP/Lの改善・向上につながるようにという想いがあるでしょうし、
購買部長であれば、その目的の深層には、
購買部門の地位向上という想いがあるでしょう。
また、バイヤー(購買担当者)は要求者に利便性が向上するとか、
サプライヤとより良好な関係を築けるようにという想いが
あるのではないでしょうか。
つまり、関係者が多ければ多いほど微妙なズレが少しずつ蓄積されるため、
その企業にとっての最適解をだしていくのは難しい作業になっていきます。
さらには、やっと経営層である購買担当役員と購買部門にとっての
最適解を導き出せたかのようにみえても、
他の事業部門と擦り合わせをしたときに、最適解だと思っていたことが、
実は全社最適解ではなくて、部分最適解であったことに気づいて
愕然とするケースも珍しくありません。
最適解をだすというのは個人レベルから組織レベル、企業レベルと
規模が大きくなればなるほど厄介になってきます。
ここで少し脱線しますが、ふと思いだすのがこういう言葉です。
「個人は優秀だが、組織はいまいち」
大企業でよく聞く言葉です。
確かに、個人個人の能力は非常に高いのに、なぜか組織や企業単位になると、
やっていることはいまいちなのです。
一般的な理由としては、
会社のビジョンが定まっていない、浸透できていない
組織間の役割や連携方法がはっきりしていない
組織のミッション・目標があいまい、
組織間および組織内での情報共有ができていない、
そもそも社員同士のコミュニケーションがとれていない
など挙げられるのですが、何かありきたりの話でつまらなく感じます。
この理由を解明すべく、学問レベルの研究で「組織の経済学」と呼ばれる
「新制度派経済学」とうものがあります。
この組織の経済学は不条理な組織現象を
説明する理論としても応用できると考えられています。
アプローチの特徴は、どんな人間でも完全合理的ではなく、
限定的合理的のもとにしか行動的ないと考える点です。
簡単にいうと、どんなに合理的に考えて行動したとしても、
それは限られた情報での思い込みの合理的にしかすぎないことです。
この1人1人の思い込みのズレが個人は優秀だが、
組織は、、、ということにつながるのでしょう。
ここで話を本線に戻して最適解について考えてみると、
ますます最適解というものが難しい存在に思えてきます。
そうすると、やはり「納得解」なんだろうなと思います。
関係者が納得する解、それは100%の最適解ではなく、
80%の最適解かもしれませんし、もしかしたら60%の最適解かもしれません。
しかしながら、納得解には最適解にはない強みがあります。
それは、その解を実行する人が納得しているという点です。
いくら最適解だと言われても、
何となく腑に落ちないことに関しては実行力は落ちるでしょう。
逆に自分が納得したことであれば、実行力はあがるのではないでしょうか。
「納得解」。
私はすごくこの言葉を気に入っていますし、
コンサルタントとして、プロジェクトをどう進めていくべきか、
何が本当にクライアント企業にとって良いのか、など行き詰まったときには
「納得解」を導きだすということを軸足に置くようにしています。
(江本 真一)
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