2009.7.3号
「野町より皆様へお知らせ/調達・購買改革の広がりと業務改革リーダー/当たり前のこと」

アジルアソシエイツでは、メールマガジン「目指せ!購買改革!!」を発行中(隔週/無料)です。ぜひお申込ください。
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このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2009.07.03 ───

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  ☆今週のメッセージVol.1
           「野町より皆様へお知らせ」
  ☆今週のメッセージVol.2
    「調達・購買改革の広がりと業務改革リーダー」
  ☆今週のメッセージVol.3
           「当たり前のこと」

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■ ☆今週のメッセージVol.1「野町より皆様へお知らせ」
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==「設計魂と購買魂」日経Tech-on!に連載中==

以前にもご紹介いたしましたが、
「設計魂と購買魂」が日経Tech-on!に連載中です。
http://techon.nikkeibp.co.jp/column/buyer/

今回のタイトルは「ゲスト・エンジニア制度という名の技術流出!」
霜月電機の若手エンジニアの鈴木とベテランバイヤーの田中の
やりとりを通して企業における課題を浮き彫りにしていくものです。

鈴木はこの先どういう経験をして、どういうエンジニアになっていくのか。
また鈴木はこの先「バイヤーのエンジニアの境界」という
垣根を越えられるのか?

自信作です。是非ご一読ください。

==「調達・モノを買う仕事」ご紹介==

今年3月に発刊されました拙著
「はじめて読む知識 調達・モノを買う仕事」がたいへん好評です。
http://www.agile-associates.com/books.html

「分かりやすい」
「事例が多く読みやすい」
「教科書として使っています」
「購買だけでなく経営書そのもの」

この本は私にとって二冊目の著書となりますが
多くの方の思いや見識が詰まっています。
また、今までには全く違った観点から
「調達・モノを買う仕事」を紹介しています。

是非ご一読ください。

==7月開催セミナーご案内==

先日セミナー開催のご案内させていただきましたが、
7月開催のセミナーが締切間近となっております。
皆様のご参加をお待ちしております。

■「購買業務改革トレーニング」セミナー
**新規カリキュラムです!**
 日 時:2009年 7月 9日(木)〜10日(金)【2日間コース】
     10:00-17:00(受付開始9:30)
 場 所:TKP東京駅八重洲ビジネスセンター カンファレンスルーム1803
 参加料:100,000円(昼食費・懇親会費込、税込)
 対 象:調達・購買部門実務担当者、
     調達・購買部門マネージャーおよび部長クラス、企画担当者
 申込、詳細はこちら
   http://www.agile-associates.com/training090709/

■「調達・購買業務基礎」セミナー
**新入社員、人事異動者向けにいかがですか!**
 日 時:2009年 7月 17日(金)10:00-17:00(受付開始9:30)
 場 所:TKP東京駅八重洲ビジネスセンター カンファレンスルーム1803
 参加料:35,000円(昼食費込、税込)
 対 象:調達・購買部門に新たに配属された方
 申込、詳細はこちら
   http://www.agile-associates.com/training090717/

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■ ☆今週のメッセージVol.2
■□ 「調達・購買改革の広がりと業務改革リーダー」
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最近、調達・購買界の広がりを感じることが多くあります。

一つは先日行われましたBuyer's HUBです。
このメルマガでもご案内させていただいたので
ご参加なされた方もいらっしゃると思います。
80名弱の方々が参集されました。
今回は交流を目的にしたものでありましたが、
それぞれの方が色々な情報交換を行っていらっしゃいました。
私も幹事の一員として参加しましたが初対面の方が多くびっくりしました。

それからもう一つは
最近の調達・購買改革に取り組む企業さんのすそ野の広がりです。
7年前にアジルアソシエイツを立ち上げたころは、
やはり調達・購買改革に取り組む企業は超大手企業が殆どでした。
業種も限定された業種であり
製造業の部品、原材料等の直接材をテーマにした業務改革が中心でした。

私はこれが「中堅企業に広がっていくだろう」と考えていたのですが、
そのペースは私が考えた以上に遅かったのが実情です。
それに対し業務改革の業種を超えた広がりは進展しました。
つまり自動車、電機だけではなく他の業種、製造業だけでなく
非製造業への広がりを見せていきました。

それがここにきて
中堅企業での調達・購買改革を推進しようという企業さんが増えています。
それも単にコスト削減を目指すのではなく、
業務の標準化とPDCAサイクル(戦略購買サイクル)の整備、
企業としての購買力・調達力の向上を全社で目指すことを目的にしています。

このように調達・購買の世界や
調達・購買改革の世界のすそ野が広がっていることは、たいへん嬉しいことです。
我々は調達・購買改革のお手伝いをして生計をたてていますが、
一方でこのようなすそ野の広がりを支援することで
調達・購買部門やバイヤーの地位向上に寄与する必要があると考えています。

話が戻りますが、
このような中堅企業の調達・購買改革で共通する要素が一つ上げられます。
それは業務改革リーダーの存在です。
大企業でも業務改革リーダーが存在するでしょう。

しかし、中堅企業の業務改革リーダーはマネジメントからの信頼を得て、
強力なリーダーシップで改革を推進していきます。
そういう点から、
中堅企業における業務改革リーダーの存在は必須だと考えます。

彼らに共通する要素は「信念と情熱」です。
短期的な視点だけでなく、中長期的な視点から会社の成長や体質強化を目指す、
それを実現することに信念を持っています。
また、改革にかける情熱も相当なものです。
企業体質の改革を順次行っていくシナリオを頭の中に描いています。
また、その中で経営資源の一要素である「金」の出る部分である
調達・購買を改革することが非常に重要であることを知っています。
情熱とはシナリオを持ちそれを実行していく力であると私は考えています。
高度に分業化されていないからこそ求められる素養なのかもしれません。

業務改革リーダーが我々に求めることは非常にシンプルです。
彼らの殆どは調達・購買の専門家ではありません。
彼らが求めるのは調達・購買の専門的なノウハウと
それを現場へ落とし込む力です。
重要なのは専門的なノウハウだけでない、という点です。
最終的にはコンサルタントは改革プロジェクトが終わると
依頼元企業に業務が引き継がれます。
そこで重要なのは現場にノウハウを落とし込む力なのです。
業務改革リーダーは現場へノウハウを落とし込む時に多くの支援をしてくれます。
しかし彼らは上手く外部の力を使うことを知っているのです。

このような調達・購買改革のすそ野の広がりと
業務改革リーダーをテーマにしたセミナーを
今月24日にアジルアソシエイツにて開催する予定です。
詳細は別途ホームページやメールマガジンでご案内させていただきます。
是非ともご参加ください。


【お詫びと訂正】

前回のメルマガ「GM(ゼネラル・モーターズ)の経営破綻」にて、
読者の方からご指摘をうけました。
それはここの箇所です。

「しかし私は決定的な課題はグローバル化の遅れではないかと考えています。
(中略)
一方GMの海外戦略はどういったものでしょうか?
彼らの欧州、アジアのマーケットにおける事業展開は
現地メーカーへの出資でした。
日本においてはスズキ、いすゞ、富士重工、
欧州においてはオペル、ヴォクスホール、サーブ。
南米やタイに生産拠点を構えるものの、
やはり彼らの視点は米国から離れることはありませんでした。
日本でGM車が今も殆ど走っていない状況を見るとその戦略は明らかでしょう。
それでは何故このようなグローバル化の遅れをとってしまったのでしょうか?」

御指摘の内容は
「GMは彼らのマルチブランド戦略に合致するところやノウハウもあって、
こういう手段をとったわけで、これが間違っていた、
とはあながち言い切れないのではないか。
また市場によっては、現地企業との合弁を義務づけられていたり、
現地調達比率規制があったりする市場も多かったわけで、
こういう市場では、何もGMに限らず、
日本の企業にしても現地企業と提携・出資せざるを得なかった。」

このようなご指摘を元にGMの海外戦略について再度調べてみましたが、
いろいろな事実がわかりました。
・オペル社はGM社の100%子会社であり、
 1931年から80年近く昔から欧州市場における
 マルチブランド戦略として立ち上げた会社。
・欧州事業は2007年の販売台数は過去最高の218万台に達し、
 特に東欧、ロシアでの販売拡大が功を奏し始めていた。
・日本でのシボレー車のノックダウン生産の歴史は古く、
 1927年には大阪に組立工場をつくっていた。
 その車は何と右ハンドル車であった。
 昭和初期の日本国内は、GMのシボレー車とフォード車の独擅場だった。

このようにGMの破綻が
「グローバル化の遅れ」という記述は正確性にかけていました。
むしろ海外戦略自体に問題があったということではなかったとも思われます。

たいへん申し訳ありませんでした。

(野町 直弘)
  
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■ ☆今週のメッセージVol.3「当たり前のこと」
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ここ最近の弊社のメルマガでプロジェクトマネジメントについて
言及されることが多いですが、
先日、新千歳空港から羽田空港まで飛行機に乗る機会があり、
そこで私なりに感じたことを書いてみたいと思います。

まずは、飛行機で起こった出来事を少し書いてみます。

私は時間通り空港に到着し、飛行機に乗り、座席で本を読んでいましたが、
ほとんどの乗客が座席についていたのに、
定刻を過ぎてもその飛行機はなかなか動き始めません。
すると、5分ぐらい遅れて、大きな荷物をいくつも持った男性が、
客室乗務員の方に連れられて、特に悪びれる様子もなく
私の前の座席に到着しました。
この時点で何となく嫌な気持ちになりました。

その便は満席で、荷物を収納するスペースにほとんど空きがありません。
気のせいかもしれませんがなんとなく顔を曇らせながら、
客室乗務員の方が3人がかりで、空いている収納スペースを探して、
大きな荷物を何とか収納しました。
男性はその間、全く悪びれる様子もなく、
当たり前のような顔をしていました。(ちらっと見えただけですが)
少なくとも一生懸命収納スペースを探して対応してくれた客室乗務員の方に、
感謝なり謝罪の一言があってよいと思いますが、
見ている範囲ではそのような言動は一切見られませんでした。
気分が悪くなりました。

やっと落ち着いて、男性が座席についたと思ったら、
なんと携帯電話を使って通話を始めました。
「飛行機では携帯電話の電源を切る」というのは、
既に常識だと思いますし、仮に知らなかったとしても、
その飛行機の中では何度もアナウンスされていました。
すぐに通りかかった客室乗務員の方が、
丁寧に注意をして、男性は通話を終わらせました。
呆れてモノも言えなくなりました。

そして、約10分程度遅れて飛行機は動き始め、無事離陸しました。

離陸して数分後、シートベルト着用のサインが消えました。
すると、待ち構えていたかのように私の前の座席の男性が
勢いよく座席を後ろに倒してきました。

私としては、何となく予想していた展開だったのですが、
せめて一言あるべきでしょう。
一言ないにしても、恐る恐る席を倒してくればまだ許せるような気もしますが、
勢いよく倒されると本当に不快です。

結局着陸の直前まで、座席は最大限倒されたままで、
私は、羽田空港までの約1時間半程、不快な時間を過ごしました。

さて、この男性には大きく3点問題があると思います。
・時間を守らない
・ルールを守らない
・周囲に気配り、心配りをしない

つまり逆に言うと、
・時間を守って搭乗口に現れ、
・ルールを守って携帯電話の電源を切り、
・客室乗務員の方や周囲の乗客に気配り、心配りをする
の3点を男性が少しでも心掛けてくれていれば、
私は気持ちのよい快適なフライトを楽しむことができたということです。

これらは極めて当たり前のことで、幼稚園で習う?レベルの話です。

とはいえ、我々はコンサルタントという職業で
主にプロジェクト単位で仕事をしていますが、
当たり前のことではあるのですが、
考えてみると実は意外と難しいことだと改めて思い直しました。

初めに、「時間を守る」(=納期を守る)と一言で言っても、
プロジェクトは一人で回っているわけではなく、
様々な方々が関わっているため、
自分一人が時間(=納期)を守ればよいわけでは当然ありません。
実際、プロジェクトを進めると様々な要因から、
大抵多かれ少なかれスケジュールは遅延してしまいます。
逆にそこをいかに遅延させず、万が一遅延した場合は、
いかにリカバリーするかが、コンサルタントの腕の見せ所です。
この辺のやり方は、世の中のプロジェクトマネジメント等の本に
詳しく書かれているはずですが、
私は地道に各タスクの進捗状況を細かく把握し、
スケジュールと照らし合わせて、
リスクや課題があったらすぐに対処をするという
ある意味、当たり前のことを日々確実に進めることを心掛けています。

「ルールを守る」という点については、
プロジェクトを進める上で守るべき最大のルールは一言でいえば、
「ほう・れん・そう」をプロジェクトメンバー間できっちりと
やることだと私は考えています。
これも社会人として生きていく上での基本中の基本ですが、
実際忙しいプロジェクトの中では、
メンバー間の意思疎通が中々図れないことも往々にしてあります。
本当は、プロジェクトマネージャー、プロジェクトメンバー双方が、
意識しあってコミュニケーションを図ることで、
プロジェクトを進める上での課題やリスクを事前に
摘み取ってしまうことができるはずです。
本来は忙しい時ほどコミュニケーションを
しっかりとることが重要であると思いますが、
正直私はあまりできていないと反省しています。

また、ルール以前かもしれませんが、約束は守るということは大前提です。
それは契約書に書かれていることかもしれませんし、口約束かもしれません。
少なくとも、やることになったことは、やるというのは当然です。
ただし、やはりプロジェクトを進めると、
予期せぬ問題や課題が発生するなど、困難を伴うことが多く、
それを乗り切って、やりぬくことがコンサルタントの価値です。

ちなみに、弊社の「信条」なるものの一つに、

「愚直に徹底的にやりぬく
〜一度やると決めたこと、やると宣言したこと、
決まったことはどんな困難があっても愚直に必ずやりぬく〜」

という文言があるのですが、いかにしてやりぬくかを考えた上で、
実際にやりぬくことがコンサルタントとしては重要です。
時間が無限にあれば愚直にやり続けていればいつかは終わるのでしょうが、
実際の世の中はそうではないので、
限られた時間やリソースの中でいかにやりくりしていくか、
考えながら仕事を進める日々が続いています。

とはいえ結局は、
「ある程度優先度を決めた上で、愚直にがんばる」という対応が多いですし、
世の中でプロジェクトと呼ばれるものの多くが
そのように進んでいると思われます。

最後に「気配り、心配りをする」という点は、
これもコンサルタントという職業に限らず、
仕事や生活をする上で、大切なことの一つだと考えますが、
プロジェクトを進める上ではコミュニケーションを円滑にとるための
前提でもあるため、最も重要で大切なことだと私は考えています。

例えば、プロジェクトを進めていると、議論をする場面が多くあります。
その際、お互いがヒートアップしすぎると、
場合によっては何となく嫌な雰囲気のまま終わってしまうこともあります。
そのようなとき、その場またはその後にフォローができるかは本当に重要です。
嫌な雰囲気の中では、うまくいくものもうまくいかないものですし、
それにより、お互いの意思疎通がうまくいかなくなることもあり、
大きな問題を見過ごすことにつながりかねません。

ただ、「気配り、心配り」で悩ましいのは、
相手の性格や考え方等にあわせていかないと
逆効果になる可能性もある点です。
議論の後の他にも、メンバーへの指示の出し方、
結果に対するフィードバックの仕方から、
プロジェクトマネージャーに報告する際の報告、連絡の仕方や、
相談のタイミング、何となくメンバーが元気がなさそうな時の声のかけ方、
その時の話題、等々。
様々な場面で相手のことを考えていく必要があり、やり方を間違えると、
むしろ険悪な関係になってしまうこともあります。
私も、特に忙しい場合などは全く実践できておらず、
むしろメンバーに迷惑をかけていることもあるのですが、
最大限意識して、可能な限り実践しようと心掛けているつもりです。

以上、長々と書きましたが、飛行機の男性を見て、
プロジェクトに限らず、仕事や生活をしていく上では、
当たり前のことだと軽視しがちなことを、
それぞれがきちんと意識していくことが重要なことだと再認識しました。

(高橋 和昭)

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