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「目指せ!購買改革!!」
〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2009.06.19 ───
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☆今週のメッセージVol.1「GM(ゼネラル・モーターズ)の経営破綻」
☆今週のメッセージVol.2「プロジェクトで自分に問いかけること」
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■ ☆今週のメッセージVol.1「GM(ゼネラル・モーターズ)の経営破綻」
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既に皆さんもご存知の通り6月1日に米GM(ゼネラル・モーターズ)が
米連邦破産法11条の適用を申請し、経営破綻しました。
何故世界最大の自動車メーカーが破綻してしまったのでしょうか?
ガソリン価格高騰を受け燃費の良い小型車の開発・生産に遅れをとったこと、
品質面で信頼性を落としたこと、
労使関係で高コスト体制となってしまったこと、
等などの理由が上げられています。
しかし私は決定的な課題はグローバル化の遅れではないかと考えています。
私が就職した当時、日本の自動車メーカーはトップのトヨタ自動車でさえ、
文字通り国内企業でした。
そのころトヨタ自動車が掲げたビジョンは
グローバル10(世界シェア10%を目指す)でした。
ただ自動車会社に勤めていた誰もが「そんなの無理だよ」と
半ば馬鹿にしていたのが実際でした。
ところが、1985年のプラザ合意以降
日本の自動車メーカーは海外生産を積極化し、
脱日本、グローバル化の一途をたどっていきます。
日本を代表するメーカーであるトヨタ自動車は
「豊田自動車」から「トヨタ」になったのです。
一方GMの海外戦略はどういったものでしょうか?
彼らの欧州、アジアのマーケットにおける事業展開は
現地メーカーへの出資でした。
日本においてはスズキ、いすゞ、富士重工、
欧州においてはオペル、ヴォクスホール、サーブ。
南米やタイに生産拠点を構えるものの、
やはり彼らの視点は米国から離れることはありませんでした。
日本でGM車が今も殆ど走っていない状況を見るとその戦略は明らかでしょう。
それでは何故このようなグローバル化の遅れをとってしまったのでしょうか?
私はその大きな一つの要因として上げられるのが事業構造だと考えています。
GMは典型的な垂直統合型企業です。
デルファイ・オートモーティブ・システムズを分離独立したのは
1995年とつい最近のことです。
一方でトヨタはデンソー、アイシンを始めとする
優良部品メーカーとの水平分業型企業です。
GMの負債状況を見ると面白いことがわかります。
事業会社の負債トップ10の中で部品メーカーは
2位にデルファイ1.1億ドル、3位にボッシュ0.66億ドルが入っていますが、
日本の部品メーカーはデンソーが6位0.29億ドル、
矢崎総業が8位0.13億ドルとなっており、
意外と日本の部品メーカーとの取引が少ないことが分かります。
これらの金額は基幹投資家や広告会社の
スターコムグループ1.2億ドルに比べ非常に低く、
このようにGMは現在でも垂直統合型事業構造であることがわかります。
海外生産や海外展開を進める上で
この垂直統合が足かせになったことは事実だと考えます。
自動車産業は典型的な摺り合わせ型産業であり、
部品メーカーとの協業が欠かせません。
この点からは垂直統合のメリットが活かしやすい産業とも言えます。
しかしスピードや柔軟性を確保した海外展開を行う上で
柔軟なサプライヤ構造を持つことは大きなメリットと言えます。
逆に言えば垂直統合型のGMにとってみると
海外現地での部品調達を進めることは
大きなリスクと時間をかけなければならなかったのです。
自然とてっとり早い資本投入という手段に出ざるを得なかった、
というのが実態かもしれません。
現在の経営環境の変化に対応するためにはスピードが必要です。
スピード勝負になると水平分業型、
パートナー重視の戦略がより一層重視されます。
パートナー重視戦略において欠かせないのは
サプライヤとの関係性作りであり、
その役割を果たすのは多くの企業においては調達・購買部門なのです。
今回のGM破綻の件は、一見全く関係のないような
調達・購買機能の重要性にも大きな関係性があったと考えています。
(野町 直弘)
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■ ☆今週のメッセージVol.2「プロジェクトで自分に問いかけること」
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前回6/5付のメルマガでは、
弊社江本がプロジェクトマネジメントの重要性について
書かせていただきました。
今回は、このプロジェクトマネジメントに関連し、
私が実際にプロジェクトを進めていく上で、自分に問いかけていること、
または問いかけるべきこと、を書き出してみました。(下記)
まずは頭に浮かんだことを列記して、次に、それらの問いかけが一般に
プロジェクト内で必要となるであろう段階を勘案して、
順番を整理したものです。
挙げてみると教科書的なことが多いように見えますし、
確かに私が過去に読んだ本の内容などが反映されているものもあります。
とはいえ、やはり現場で実際に経験したこと、失敗したこと、
「なるほど」と感じたことなどが蓄積され、
実感が伴っているので思い浮かんできたものだと思います。
<プロジェクトで自分に問いかけること>
*なぜこのプロジェクトを立ち上げる(た)のか、プロジェクトの目的は何か
*顧客はコンサルタントに何を、どんな役割を期待しているか
*目標とするゴール、到達点はどこか、どのような状態になったらOKか
*それに対して我々コンサルタントにできることは何か、できないことは何か
*我々はどこで付加価値を出せるか
*現在の姿はどのようになっているか
*現状を知るために必要な情報、作業は何か、それによって正しく把握できるか
*ヒアリングで何を訊くか、相手はどう答えるか(事前に仮説を立てているか)
*現象の裏にある事情、背景は何か
*何が問題か、その根っこはどこにあるか
*それらの問題はコントロール可能か、あるいは不可避なことか
*ボトルネックはどこか、それは本当にボトルネックか
*本来、どうあるべきか
*制約を考慮したら、現実的にはどうあるべきか
*それに向かって何をやるべきか
*やるべきことの重要度は高いか、低いか、容易か、難しいか
*それをやることによる効果は何か、数字で表すにはどうするか
*その効果はすぐに現れるか、時間がかかるか
*それをやることによる副作用は何か、それは重大なものか
*具体的な作業は何か、どのような順序で進めるか
*誰がやるか、いつまでにやるか
*自ら手を動かすべきことは何か、顧客が手を動かすべきことは何か
*作業や意思決定は予定通り進んでいるか、遅れているか
*進捗が遅れるリスク、効果が現れないリスクはあるか、その原因は何か
*その原因はどうやって回避するか
*その原因が回避できない場合、代替案はあるか、挽回策はあるか
*自分はつまり何が言いたいのか、また、何を言うべきか
*自分が言うことは、論理が通っているか
*自分が言うことの根拠は何か、数字で表せるか
*何が事実で、何が推測か
*事実と思っていることは本当に正しいか、思い込みはないか
*出てきた数字は本当に信用できるか、分析手法は合っているか
*今やっていることの方向性は目的と合っているか、それているか
*今決めることは何か、あとで決めることは何か
*プロジェクトのメンバーは、何ができて、何ができないか
*メンバーに任せることは何か、サポートすべきことは何か
*他に意見はないか、機会はないか、リスクはないか
*現場の担当者は理解しているか、納得しているか、不満があるとすれば何か
*経営陣は理解しているか、納得しているか、不満があるとすれば何か
*結局我々は顧客の役に立っているか、いないか、付加価値を出せているか
長くなりましたが、このようなことを繰り返し自問自答しながら、
またチームのメンバーにも自問自答させながら、
プロジェクトを進めていくことが必要と思います。
もちろん上記だけでなく、他にも重要な問いかけがあるかと思います。
ただし、仮に、これらの項目を事前に問い、一応は答えが出せたとしても、
それで全てうまくいくわけではありません。
当然ながら個々人の経験やスキルが大きく左右しますし、
プロジェクトの中で想定外のことは多く発生します。
柔軟な考え方や迅速な対応力も必要と思います。
と、ここまで書きましたが、現実にはもっと小さな、短期的な視点での
問いかけばかりになってしまうことも多くあります。
例えば、
−来週の会議で何を発表するか、どんな資料を準備するか
−このページは直したほうがよいか、このままでよいか
−誰にメールを送るべきか、送らなくてよいか
−今日、寝ずにでも作業すべきか、明日でも間に合うか
といった、目先のことに偏りがちになります。
これらのこともその時点では必要かもしれませんが、
プロジェクトを進める上では、
前述のようなより全体的な、客観的な視点での問いかけを
心がけるようにしたいと考えています。
(大塚 真太郎)
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