2009.4.24号
「有効な不況の使い方/『CSR調達』は厄介なもの?」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2009.04.24 ───

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  ☆今週のメッセージVol.1「有効な不況の使い方」  
  ☆今週のメッセージVol.2「『CSR調達』は厄介なもの?」
  
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■ ☆今週のメッセージVol.1「有効な不況の使い方」
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最近になってやや景気回復の兆しが
一部の経済指標等でもあらわれてきていますが、
色々な方から話を伺いますと未だに先行きは見えません。
特に製造業においては生産調整、在庫調整が続いているようです。

正に「百年に一度の不況」なのでしょうか。

私はこういう時期だからこそ
企業としてやらなければならないことがあると考えています。

私が社会人になってすぐに85年のプラザ合意を受けて
急激な円高に移行し「円高ショック」「円高不況」に突入しました。

その当時もまずは生産調整、残業カット、経費削減の大運動がおこりました。
私は工場の原価・購買部門に配属されていたのですが、
まさにコスト削減活動の旗振り役として
全社の経費削減を進める立場になったのです。

その当時、同じ部署には何人も優秀で意識の高い上司が
いらっしゃったのですが、
数人の上司が話をして、部門内の新人のための
「勉強会」をやることとなったのです。

普段であれば業務に追われて時間がとれないが、
多忙な上司ももちろん新人にとっても
今のような時期こそ「いい機会」だということであったと思います。

だいたい週1回定期的に2時間程度、テーマを各新人があたえられ、
色々調べて発表し、それに対して討議をする、
というやり方だったと記憶しています。
私は各業界の代表企業の公開されている財務諸表を使って、
それぞれの企業の収益性について調べたことをうっすら記憶しています。
結論から言うとこのような「勉強会」は非常に有効です。
私自身、この時に本を読むだけでなく、
生きた言葉で理論を知り、討議をしたことが、
今でも記憶の片隅に残っているくらいです。

「研修」というと非常に大袈裟に聞こえますが
「勉強会」も立派な研修です。
よく企業内研修担当者に話を聞くことがありますが
「企業内研修」の大きな課題の一つが「時間がない」ということが
上げられます。
現在の不況期「金」はないけど「時間」はある。
そこにプラスして「やる気」や「しくみ」があれば、
多くの人たちは進んで「研修」「勉強」をします。

弊社もトレーニング事業として企業内研修を積極化しようとしていますが
「予算削減」やその他の事情でいろいろ苦労していることは確かです。
但し「研修」といっても大袈裟に構えることは全くありません。
できることからやっていけばよいのです。
(私の立場としては少しは予算もとっていただきたいのですが・・)

「百年に一度の不況」期、こういう時期を企業として、
ビジネスパーソンとして、どのような「使い方」をしていくのか?
「研修」や「教育」だけではないかもしれませんね。
実は「このような有効な不況の使い方」の積み重ねが
中長期の企業の競争力につながっていくのではないかと再認識しています。

(野町 直弘)
  
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■ ☆今週のメッセージVol.2「『CSR調達』は厄介なもの?」
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少し前ですが、あるお客様の
「CSR調達ガイドライン」を作成するお手伝いをさせていただきました。

CSR調達については、すでにみなさんもご存じかと思いますが、
人権や環境への配慮といった、
企業が果たすべき社会的責任(CSR)への取り組みを
サプライヤ評価の基準とする調達活動のことで、
ここ数年、CSRへの世間の関心の高まりとともに、
取り入れる企業が増えてきています。

そして、このCSR調達を推進するために、多くの企業がとっている手段が
「CSR調達ガイドライン」の作成です。
CSRに関する具体的な取り組み事項・禁止事項をガイドラインとして掲げ、
サプライヤに対し遵守を要請するのですが、
ここで必ず議論となるのが
「どこまでサプライヤに求めるべきなのか」という問題です。

実際、私がお手伝いさせていただいたプロジェクトでも、
ガイドライン項目を絞り込んでいく中で
「本当にここまで厳しくやる必要あるの?」
「サプライヤいじめになりかねないのでは?」
「でも、世間の風潮を考えると…」
と言ったやりとりが何度もありました。

あまりに厳しすぎるガイドラインを定めてしまうと、
取引できるサプライヤが限定されてしまい、結果としてQCDが悪化するという、
調達業務として本末転倒な事態になりかねません。
また、現場担当者にとっては、
ガイドラインの遵守状況を確認するための業務負荷がかかってきます。
「CSR調達」というタテマエに振り回され、
正直なところ厄介だと感じている現場担当者も、
中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

とくに、昨今のような厳しい経済環境の下では、
企業が考えなくてはならないのは一にも二にもコスト、利益。
CSR調達の重要性は認識していても、
どうしても軽視されがちになってしまうのが実情だと思います。

そもそも、なぜCSR調達に取り組む必要があるのでしょうか。
そこには、3つの側面があります。

1つめは、調達活動を通して社会全体最適を目指すという、
本来的な意味でのCSRの推進。
2つめは、リスク管理。
3つめは、自社のPR、ブランディング。

CSRやCSR調達というと、どうも言葉が一人歩きしてしまいがちで、
本業と切り離された部分で捉えられがちですが、大事なのは、
これら3つの要素をいかに戦略的に本業とリンクさせていくかだと思います。

1つめの「CSRの推進」がどうビジネスと直結してくるのか
ピンとこないかもしれませんが、
昨今注目されている社会起業家と呼ばれる方たちの例からもわかるように、
これからの時代はビジネスと社会貢献が切り離せないものとなってくるはずです。
たとえば衣料品や食品の分野では、
フェアトレードやオーガニックによる原材料からつくられた商品が次々に発売され、
消費者から一定の支持を得ていますが、
こうした商品の企画・開発は「CSR調達」と一体で成り立つものです。

とは言え、現実的には、CSRとコストのバランスをとるのは難しく、
品目の特性や市場のニーズを汲み取りながら柔軟に対応していく必要があります。

ただ、その中でも大事なのは、
「なんのためのCSR調達か」という視点を失わないこと。
単に世の中の流れだからということで
「CSR」という言葉をタテマエとして一人歩きさせるのではなく、
ビジネスの中にうまく組み込んでいくことが重要だと、私は考えています。

(桜井)

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