2008.11.14号
「バイヤーの逆襲/契約期間中の値上要請にどう応えるか?」

アジルアソシエイツでは、メールマガジン「目指せ!購買改革!!」を発行中(隔週/無料)です。ぜひお申込みください。
メールマガジンの新規購読申込みのページへ

─────────────────────────────────
このメールは、アジル アソシエイツのお客様、
アジルアソシエイツが講演するセミナーにお越し頂いた方々、
その他の機会に名刺交換をさせて頂いた方々にお送りしています。

─────────────────────────────────
        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2008.11.14 ───

┏┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
◆┃ INDEX
┗┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆
  ☆今週のメッセージVol.1「バイヤーの逆襲」
  ☆今週のメッセージVol.2「契約期間中の値上要請にどう応えるか?」
    
□■…………………………………………………………………………………
■ ☆今週のメッセージVol.1「バイヤーの逆襲」
■□
■□…………………………………………………………………………………

本年度の調達・購買部門アンケート調査
(http://www.agile-associates.com/2008/10/press_release_2008_1.html)
でも取り上げられていますが、
昨今の調達・購買部門は原材料の市況高騰に悩んでいます。

昨年との比較による平均コスト上昇率は
「石油・石炭製品」で47%、「鉄鋼」で35%となっており、
その他の素材も含めて
1年間で1.3〜1.5倍程度のコストアップになっています。

またコスト上昇には
「購入先の多様化」(58%)等の施策で対応しているが、
回答企業の約半数の48%の企業が
「従来よりもコスト削減効果がでていない」状況となっています。

冒頭に「悩んでいます」と書きましたが、
正確には「悩んでいた」になりそうです。

今は全世界的に百年に一回の大恐慌だそうです。

逆に言うと百年に一回のバイヤーにとってのチャンスかもしれません。

この記事を書いている丁度同じ頃に
新聞紙上では鉄鋼業界の「カルテル」問題が取り上げられています。
前にあるバイヤーさんから
「鉄の値上げは税金と同じ」と言われましたが、
全くもってけしからん話です。

原材料市況の軟化、円高、バイヤーにとってみると、
今までの苦渋を飲んできた市況高騰分を取り返し、
自社の競争力を強化するためのいいチャンスです。
また、このような理不尽な値上げに対して
一徹をふるえるいいチャンスとも言えるでしょう。

先日あるバイヤーさんが耳元でささやきました。
「野町さん、この先の四半期がバイヤーにとっての勝負の時期ですよ!」
そうです。まさにその通りです。
またあるグローバル企業のバイヤーさんもおっしゃっています。
「この円高で急に忙しくなってきましたよ!」

こういう時代にバイヤーが考えなければならないことは何でしょうか?

一つ目は「茹でガエル」になるな、ということです。

最近はガソリンスタンドのガソリン価格がどんどん急落しています。
一時期190円/リットルだったレギュラーガソリンが
今は130円/リットルを切ろうとしています。
でも、それでも、市況高騰以前の価格には下がりきっていません。

市況高騰時には「実際に上がっているものは上げましょう」ですが、
今は「下がっているものはちゃんと下げましょう」という交渉が
できるかどうかです。
市況高騰で100円上がり、
それに対し50円下がったから「随分安くなりました」では
「茹でガエル」になっています。
「下がったものはちゃんと下げましょう」

二つ目はサプライヤリレーションの重要性です。
コストが乱高下する状況は「サプライヤを見極める」ための
良い環境とも言えます。
相手が中長期的なリレーション構築を望んでいて
誠実な対応を取るのでしたら、
そういうサプライヤはあなたの会社にとって
中長期的にお付き合いしなければいけない企業です。

サプライヤ戦略とはサプライヤを差別化してリレーションを築くことです。
「企業やバイヤーとしての意思」を
再び考えなおすための良いチャンスなのです。

私は昔から日本の失われた90年代は
企業の国際競争力を失わせる結果になった、
その主要因の一つがサプライチェーンマネジメントやサプライマネジメント、
ソーシング、プロキュアメント、アウトソーシングなどの
従来であれば日本企業が強いと考えられていた
業務オペレーションの強化に
米国を中心とする企業が成功したことだと考えています。
今こそ、このハンデを解消し、
日本企業の国際競争力を強化する良いチャンスなのです。

正に百年に一度のチャンスなのです。

(野町 直弘)

□■…………………………………………………………………………………
■ ☆今週のメッセージVol.2「契約期間中の値上要請にどう応えるか?」
■□
■□…………………………………………………………………………………

今年もあと、1ヶ月半で終わろうとしていますが、
企業の購買担当者にとっては年間を通じて、
契約期間中でありながら、
取引先からの値上要請が多かったことと思います。

契約購買をしている場合、一般的には1年単位や半年単位で
契約を結ぶことが多いため、条項が無い限り、
契約期間中の値上げ要請(値上げに限らず価格変更)
に応じる必要はありません。

そのことは取引先も理解しながらも、値上げを要請し、
その要請を受け入れた購買担当者もいらっしゃったことでしょう。

現在、一時よりは原材料の価格は下がっていますが、
まだ価格転嫁しきれていない取引先もあることでしょうから、
契約期間中の値上要請の対応について改めて考えてみたいと思います。

まず重要なのは、値上の理由(根拠)をきちんと確認することだと考えます。

取引先に対して、値上の理由を確認すると、
その理由を明快に説明してくれる営業マンは
意外と少ないのではないかと思います。
私が伝え聞いた営業マンの説明内容をいくつか紹介します。

営業マン:「市場価格が30%上昇しておりまして、、」
(市場価格がいくら上昇したかは関係なく、
 取引先がいくらで仕入れているかが問題です)

営業マン:「原料価格が20%上昇しましたので20%の値上げを、、」
(商品の原価構成は原材料だけで構成されているわけではありません)

営業マン:「原料価格上昇に伴い、仕切値の見直しをお願いしたく、、」
(定価自体もちゃっかり上がっているケースもあります)

説明が成り立っていない値上要請は論外ですが、
取引先の営業マンから明快な納得のいく値上の理由が聞けたなら、
次に、その値上要請を受けるかどうかは、
取引先との関係次第になると思います。

あくまでも、契約を理由に値上要請を断ることもあるでしょうし、
取引先との関係悪化、取引先の経営状況の苦境などを考慮し、
値上要請を受け入れることもあるでしょう。

値上要請を断る場合でも、契約更新時には市況や条件はきちんと
見直すこと伝えるべきでしょう。

一方、値上を受け入れる場合でも、市況の変化によっては
値下げの価格改定を行ってもらうよう、その条件を確認しておくべきです。

読者の皆さんはどのように対応した(する)でしょうか。
ご意見・ご感想をお寄せください。
別の機会にご紹介したいと考えています。

(田中 亮)

□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━□
■ご感想・リクエストなどはこちらまで
 mailto:info-ag@agile-associates.com

■購読・バックナンバーはこちら
 → http://www.agile-associates.com/mail_magazine/


株式会社アジルアソシエイツ
 URL:http://www.agile-associates.com/