2008.10.18号
「我々は半分しかわかっていない」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2008.10.18 ───

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  ☆今週のメッセージVol.1「我々は半分しかわかっていない」
  
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■ ☆今週のメッセージVol.1「我々は半分しかわかっていない」
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先月のはじめですが、
弊社で「戦略的サプライヤマネジメントの重要性」というセミナーを
開催しました。

その中でM重工の購買部の方にご講演をお願いし
「VOS(Voice of Supplier)から始める戦略的サプライヤマネジメント」
というテーマでお話を伺いました。

「VOS」とは、正に「サプライヤの声」を聞くということです。
日本企業は従来「協力会」という仕組みの中で
サプライヤとのコミュニケーションを重要視してきました。

しかし、近年では「協力会」がマンネリ化し、
コミュニケーションの場として上手く機能していない声も多く聞かれます。
一方で、先進的な日本企業の調達・購買部門は
近年サプライヤとのコミュニケーションを一層重要視しているようです。

ご講演では、
M重工の当時おかれていた状況(納期遅れ、供給不足が多発)から
業務改革PJが立ち上り、そのPJの一環として
「サプライヤの声」を聞いた、というものです。
「サプライヤの声」には多くの示唆があり、
その当時の仕組み自体に大きな問題が存在していたことが判明、
その声に応える形で業務改革を推進していった、という内容でした。

お話の中で非常に象徴的な言葉がありました。

それは、
「我々は片側から見た半分のことしか分かっていなかった」
というフレーズです。

調達・購買部門は自社の中では
唯一サプライヤ(売り手)の方向から考えられる(考えなければならない)
立場です。
一方でサプライヤに対しては
買い手を代表して考えられる(考えなければならない)立場です。
そういう点からは、
双方の視点で一番ものが見れる立場であると言えるでしょう。

それでも日々の仕事の中で知らず知らずの間に
「半分しか分かっていない」状況に陥ってしまうのです。

私自身も過去の多くのお客様のプロジェクトの現場で
同様の経験をしています。
クライアント企業を代行して
サプライヤさんに我々だけで声を聞きに行くことも多くあります。
そういう場面で
「この要件をこうしてくれれば、もっと安い価格で提案できたんですけど。。
契約期間をこう見直してくれたら、
計画的な投資ができるので生産性が向上するんですけど。。」
という話を聞きます。

「サプライヤの声」を聞くことはそういう点からも非常に重要で、
調達・購買部門のタコツボ化を防ぐための手法の一つと言えるでしょう。

そういう点から考えると
「戦略的サプライヤマネジメント」と言っていること自体、
考え方が間違っているかもしれません。
「サプライヤ」を「マネジメント」するのではないのです。
今までは「サプライヤマネジメント」とはどちらかと言うと
「サプライヤの集約」というような一方的な管理手法を指していました。
これを「双方向」の関係にしていく、いやこれでも足りません。
「双方向」ではなく「対等なコミュニケーション」こそが、
今必要になっているのでしょう。

先日、滋賀にある大手精密機械企業の子会社である
N社さんの「長浜宣言」の話を聞く機会がありました。
「長浜宣言」は多くの取引先企業さんの前で
社長さんが同社の取組み姿勢について説明したものです。

『調達革新・長浜宣言』
・調達の現場を変える
  双方向のコミュニケーションにより、
  知恵と工夫の相互交換ができる場を作る
・N社とお取引先様の関係を変える
  N社と共に歩みたい(N社の仕事がしたい)と強烈に願う企業と共に、
  持続的な強い競争力を持つ最適調達基盤を作る
・壮大なる改革を誇りと喜びをもって推進する

正に「分かりやすいメッセージ」であり同社の思いが伝わりますよね。

(野町 直弘)

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