2008.6.27号
「調達・購買の将来/長篠の戦いについて考えたこと〜織田信長の発想〜」

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        「目指せ!購買改革!!」     
      〜調達購買マネジメント最前線〜
──────────────────────── 2008.6.27────

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  ☆今週のメッセージVol.1「調達・購買の将来」
  ☆今週のメッセージVol.2「長篠の戦いについて考えたこと」
   〜織田信長の発想〜
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■ ☆今週のメッセージVol.1「調達・購買の将来」
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5月のゴールデンウィーク明けに当社の鬼沢が
米国ISMの年次総会に参加しました。

その時のキーノートでも語られていたのですが、
調達・購買部門の将来像(あるべき姿)がドラスチックに
変化しているようです。

これについては、私自身も最近よく考えています。
「日本の調達・購買はこれでいいのかな?」と。

米国では

STEP1:決められた物を安く購入(サプライヤからの購入価格決定)
STEP2:業務効率化、支出の番人(オペレーションコストの最適化)
STEP3:戦略ソーシング(自社製品・サービスの利益)
STEP4:付加価値を与えるものを調達(自社製品の革新)
STEP5:調達の視点でビジネスモデルを構築(自社ビジネスモデルへの貢献)

というステップで「あるべき姿」を捉えています。

日本の場合は、どうでしょうか?

多くの企業で未だSTEP1〜3の状況であることが指摘できます。
また未だSTEP1の所謂「赤鉛筆バイヤー」(受領した見積書に
赤ペンで修正をすることが仕事だと思っているバイヤー)も多く存在します。

STEP3の戦略ソーシングでは
支出データや購買データを分析→品目別購買方針の作成
→戦略的なサプライヤ選定の実施を行うのですが、
この時点でも中長期のリレーションよりも
短期のコスト削減に目的が偏ることが多いでしょう。

「コスト削減」が主たる調達・購買部門の役割であることは間違いありません。
但しそれだけが目的なのでしょうか?

調達・購買部門の役割は年々重要になっています。

この背景としては、
1.技術進化に伴う調達品の複雑化
2.外製依存の高まりによる外部資源の有効活用
3.企業のグローバル化
の大きく三点が上げられます。

1.は以前の単一なテクノロジーだけでは、
現在の製品技術競争力は得られないということです。
以前自動車はエンジン、足回り等が重要視されていましたが、
現在は電子部品、センサー技術、その他の要素技術の総合製品になっています。
こういう時代においては如何に外部の技術を上手く活用するか、
というがポイントとなります。

2.はサプライヤを外注と見るのではなく、
外部資源として有効活用する視点が重要になってきます。

3.は言うまでもありませんが、グローバル化した企業活動の中で、
グローバル調達が機能しなければ企業活動自体に支障を起こしてしまいます。

これらを背景に「継続的な外部資源の有効活用(ソース先)が
企業の競争力強化へ大きな影響を与える」ことは間違いないでしょう。

振り返ってみると、これらの能書きはともかく、
企業活動を単純化すれば「売る」「作る」「買う」「運ぶ」になる訳ですから
「買う」が重要なことは言うまでもありません。

こういう重要な「買う」という役割の目指すべき姿が、
単に「コスト削減」でよいとは思えません。

それでは、どういう姿があるべき姿なのでしょうか?

私は分かりやすく言うと、“こういう姿じゃないのかな”と考えています。

「もし、将来その企業が何らかの危機に陥り、
経営状況が危うくなった時に、多くのサプライヤさんに
『この企業を助けていこう』と考えさせられるか?そういう関係を作れるか?」

いかがでしょうか?多分最初は個人の力量でしょう。
「この人にはお世話になったから・・」そこがスタートかもしれません。
ただやはり個人の力だけでなく、企業として
「この企業にはお世話になったから・・
我々の会社にとってこの企業はなくてはならない企業だから・・」
そう考えさせることが可能でしょうか?

目指す姿が見えてきたら、やらなければならないことは自ずと決まってきます。

ある企業さんの調達・購買部門は積極的に自社のリサイクルシステムを構築し、
コスト削減を実現するだけではなく、
新しいビジネスモデル(もうける仕組み)を構築しています。
「買う」という行為は「物の価値を見極める力」につながります。
これからの調達・購買部門はこのような専門力を活かして、
社内だけでなく、社外へ付加価値を与える存在になっていく必要がある
と感じる今日この頃です。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「長篠の戦いについて考えたこと」
■□ 〜織田信長の発想〜
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前回のメールニュースで、歴史小説について書いた後、小説を読み返し、
考えたことがありましたので、その件について書きます。

戦国の武将織田信長というと長篠の合戦が有名です。
3列に並べた足軽に鉄砲を持たせ、
1列目が鉄砲を打った後、間髪をいれずに2列目が鉄砲を打つという戦法です。
(火縄をつめている間に、
敵方から攻め込まれない方法が功を奏したといわれています。)

当時日本には、ヨーロッパから鉄砲が伝来し、
どの武将も資金があれば鉄砲を使って戦をすることができましたが、
信長の優れたところは、戦に勝てる鉄砲の使い方を編み出したところです。 

これをバイヤーの仕事に立ち返って考えてみました。
バイヤー業務というと安いサプライヤを見つけてきて、
コストを削減し成果を出すイメージがありますが、むしろ、差がつくのは、
発掘してきたサプライヤとどう関係を構築していくかです。
いいサプライヤを見つけてきても、関係をうまく構築していかないと、
サプライヤの能力を充分引き出せなかったりします。
逆に、同じサプライヤであっても、よい関係を構築することによって、
バイヤー企業はより革新的な製品を、より早く市場に出すことができます。
要するに、発掘してくることよりも
そのサプライヤとどう付き合っていくかがより重要です。

開発購買の例をだすまでもなく、これからのバイヤーの役割は、
従来のコスト削減中心から、
バイヤー企業の製品の売り上げの拡大まで広がっていきます。
(米国ISMの大会でも発表されておりましたが、
従来のバイヤーはBottom line Impact(損益への貢献)でしたが、
これからのバイヤーはBottom line Impactと共に
Top line Impact(売り上げの貢献)が求められます)  

このような環境の下で、これからのバイヤーに期待されるのは、
織田信長が鉄砲の使い方を工夫したように、斬新なアイデアで
サプライヤとの組み方を考えてく能力ではないかと改めて考えました。
私見ですが、
サプライヤの値上げ幅の圧縮交渉に多大な労力を払うバイヤーよりも、
価格決定のロジックを明確にし値上げ交渉を最低限の労力ですませ、
Top line Impactへの貢献で成果を上げるバイヤーが
賞賛される時代がくるのではないでしょうか。

(鬼沢 正一)

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