社会人になってから「反省」ということを強く意識するようになりました。
そのためか、大学院にて、「近代」とはどのような時代なのかということを学んだ授業を思い出します。
「近代」とはいつからのことなのかということに関しては諸説あるようで、ルネッサンス期であったり、産業革命であったり、ウェストファリア条約以降であったりと、様々です。
これはそれぞれ、芸術の近代化、産業の近代化、政治の近代化をさしているのだと思います。
そんな近代について、ある社会学者は「近代は「反省」の時代」であると言ってます。
社会学の用語では「再帰性」と言うそうです。
この反省、再帰性という言葉は、「失敗を振り返る」といったマイナスの意味ではなく、「振り返り、観察する」といった中立的な意味合いで使われています。
こういう「反省」の力がいたるところに及び、日々繰り返され、そして現状が修正されていく、そういった時代が「近代」なのだと言われています。
例えば昔ながらの慣習に対して、疑問を持ったことがある方は多いと思います。
政略結婚や家の存続のための結婚などは少し前までは昔ながらの慣習として当たり前に行われていました。
しかし現代ではこの考え方に疑問を持つ方は多くいらっしゃると思います。
ただ昔ながらに続いていた、というだけではそれ自体が正しいと思うことはできません。
「果たしてそれが正しいのか?」 こういう疑問を持ち、変えていくことができるのが反省の力です。
もう一つ例をあげると、社会科学という学問があります。経済学、経営学、社会学、心理学等です。
こういった社会科学というのは「近代」以降に生まれた「近代」特有の学問だと言われています。(社会学は19世紀に生まれた新しい学問です。)
社会科学が「近代」特有なのは、自分たち自身を省みる学問だからです。自分たちの行為や人間の集合体が生んだ結果を、振り返ることができるようになったためこのような学問が生まれたのでしょう。
現代について、「時代の流れ、動きが早い」時代だと言われています。これは「反省」の力が強く働いているからなのでしょう。日々社会全体で反省が行われ、反省することで社会が変わる、変わった社会でさらに反省が行われ、また社会が変化する。
そういったことを繰り返しているのが「近代」なのだと思います。
そういった意味では、現在は反省することが重要な意味を持つ時代なのだなと感じます。日々反省を繰り返す社会に負けないよう、私自身も反省を続けていきたいと思います。