2008.2.22号(時間を買う!/成果を上げるバイヤーの条件?事業責任者と対等に話ができること?

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        「目指せ!購買改革!!」     
      ?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2008.2.22────

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  ☆今週のメッセージVol.1「時間を買う!」
  ☆今週のメッセージVol.2「成果を上げるバイヤーの条件」
■□ ?事業責任者と対等に話ができること?

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■ ☆今週のメッセージVol.1「時間を買う!」
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ちょっと前のメルマガで坂口孝則さんの

「牛丼一杯の儲けは9円」
?「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学?(幻冬舎新書)

を皆さんに紹介しました。

この本の中でとても面白い「コスト削減活動」の事例が取上げられています。
それは「時間差を利用する」というものです。

内容は
「グローバルにビジネスを展開している外資系産業機器メーカーが、
客先に持参する商品資料の日本語訳を特急で対応しなくてはならない。
特急の翻訳を外注すると料金がべらぼうにかかってしまう。
そのためインターネットを通じて地球の裏側(アメリカ、南米)の同僚に
助けをもとめ、日本が夜のうちに翻訳をしてもらい、
朝出社した時には資料がメールボックスに届いている」
というものです。
それにより“客先の突発的な要求に翻訳会社に支払うより
安いコストでスピーディな対応が可能になった”とのことです。

近年、インターネットの普及に伴い「スピード」があらゆるビジネスで
重視されているのは言うまでもありません。

このような時代になっていますが伝統的な購買・調達業務では、ややもすると
この「時間を買う」という観点が忘れられがちかもしれません。

例えばサプライヤを選定する際に納期(DELIVERY)という軸があっても、
時間(SPEED)という項目を評価軸に加えているバイヤーは多くないでしょう。

また他方で時間が一番の制約条件になるような案件もあります。
例えばITシステム導入の「2000年問題対応」等は、
とにかく「時間」を守ることが一番の要件になります。
このような「時間」との勝負を求められる購買案件はともかく、
多くのケースで「時間」の評価は
例えば「コスト(C)」に比較して低いことが挙げられます。

と、色々考えながら、ある日会社近隣の人気のある中華料理屋に
昼食を取りにいきました。

そのお店は美味しく雰囲気も良いので、いつ行っても混雑しています。
特に女性のグループ客が多い。
そのため、私はいつも時間をずらし、待たなくてもよい時間に行きます。
また人一倍食べるのが早い私は、お店に着いてからオーダーして、
料理が出され、食べて、会計して、お店を出るまで約15分の所要時間です。

要するにお店にしてみれば、すごく良い上客なわけです。

女性のグループ客の場合、だいたい12時位にお店に入り、
ゆっくり食事とおしゃべりをして、1時ちょっと前までお店にいる。
滞在時間約1時間です。それに対して私は滞在時間約15分。
それで支払うのは同じ料金です。
お店側としても「食べ終わったら早く帰ってください」とは
言いにくいものです。
でしたら例えば「30分以内に帰るお客さんは料金を100円割引する」
とかいう商売も成り立つと思うのですが、
あまりそういうシステムを見かけたことはありません。

ただ、私も昼食を取りながら商談等をすることがありますが、
「ランチ2000円以上払うから長居してもよいだろう」
というような観点でお店を選択するようなケースが殆どです。

これもある意味「時間」を買っている行為です。

そう考えると、シーズンオフや平日のゴルフ場の料金、
ホテルや旅館の宿泊代等々、売る側が「時間差を利用」して
「時間を売る」システムは巷にあふれています。

逆に購買側が主導した「時間を買う」という行為は
あまり一般的ではないかもしれません。

これからの有能なバイヤーは「時間を買う」のが
上手いバイヤーとなるかもしれませんね。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2「成果を上げるバイヤーの条件」
■□ ?事業責任者と対等に話ができること?
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今から約20年以上前、私が大手製造業でバイヤーをしていた時のことです。
当時の購買部には、約30人のバイヤーがいました。
その中で、2人成果を挙げているバイヤーがおり、
その2人は共に30代半ばの方でした。

2人のバイヤーの共通項であり、その他のバイヤーとの相違点とは、
“役員からよく電話がかかってくる”ということでした。
(ここでいう役員とは、購買担当役員ではなく、
情報や通信のような事業本部の長を兼ねた取締役以上のことを指します)

役員からの電話の内容は、新製品の開発テーマ、新工場の建設、
サプライヤへの出資についてでした。
どれもバイヤーとは直接関連しない内容のように思うかも知れませんが、
よく考えると3つの内容は、
次のように密接に購買の仕事に関係しています。

・新製品の開発であれば、
  新製品に組み込まれる部品のサプライヤはどこが最適か?
・新工場の建設であれば、
  その際にサプライヤの供給の観点からはどこが最適か?
・サプライヤへの出資であれば、
  他社に先行して製品を市場に出すためには、
  どのサプライヤに出資すべきか?

成果をあげていた2人のバイヤーは、
マーケティング・開発・設計・製造のキーパーソンと同レベルで、
事業成功のキーとなる役割を果たしていたからこそ、
30代前半と若手ながら、役員と対等に話をしていたと言えます。
さらに、新製品開発を例にとると、2人のバイヤーは
開発購買という言葉もない時代に、仕事の核心を見抜き
自然と開発上流の仕事に取り組む姿勢を身につけていました。
(仕事の核心を掴める人物だからこそ、
人を見る目の肥えた役員からの信任が厚かったとも言えます)

一方で、その他大勢のバイヤーは旧来型の待ちの購買スタイル
(即ち、申請部門の決めた仕様書と購買申請が到着してから、
見積りを依頼し、値決めをし、発注する)であり、
役員と話をしたことがある人はほとんどいませんでした。

最近、購買人材のあり方について考える機会があったので、
成果を上げるバイヤーの共通項を思い出し、
その仕事のスタイルを考えてみました。

優れたバイヤーの条件とは、年齢やポジションに関係なく、
事業責任を負う人物と対等に話ができることであり、
それは25年前も今も変わらないと改めて思いました。

(鬼沢 正一)

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