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「目指せ!購買改革!!」
?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2007.12.14────
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☆弊社取締役 鬼沢正一著『図解でわかる生産の実務購買管理』
発売のお知らせ
☆今週のメッセージVol.1「バイヤー対統計学」
☆今週のメッセージVol.2
「サブプライムローンとサププライチェーンの共通項」
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■ ☆『図解でわかる生産の実務 購買管理』発売のお知らせ
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弊社取締役 鬼沢正一が日本能率協会マネジメントセンターより
『図解でわかる生産の実務 購買管理』を出版しました。
是非ご一読ください。
書籍の概要はこちらから
⇒http://www.jmam.co.jp/pub/htry_next.html
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■ ☆今週のメッセージVol.1
□ 「バイヤー対統計学」
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先日、購買ネットワーク会のメーリングリストに面白い情報が
流れてきました。
”Electronic decision support for procurement management
: evidence on whether computers can make better procurement decisions”
というものです。
http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S1478409203000463
全文を読んでいないのですが、つまり、購買取引の実験を
「購買マネジャー」と「新人」が「統計学」を使ってやった場合を比較して、
「購買マネジャーが下したソーシングの結果よりも、
新人が“統計学”を使ってソーシングを決定した方が、良い結果が出た」
というものです。
世の中には面白い研究をしている人がいるものです。
この論文が書かれたのは2003年9月と、かなり古いのですが、
その当時は、購買業務でもリバースオークション等が普及し始めた頃であり、
意思決定支援システムを実際の購買業務で活用するようなツールも
その後米国ではでてきています。
これを否定的に捉えると、
1. そもそも実験自体の有効性があるのか?
(実際の現場はより複雑な環境、事象である)
2. 決定すべき価格レベルが推計されたとしても、
売る側(サプライヤ)の同意がなければ売ってもらえない
3. サプライヤとは中・長期の関係性を保つ必要があるから、
価格だけ安くすることを考えているわけではない
4. サプライヤーとの協業のなかでVE等の提案を受けるような
やり取りができない
等々
逆に肯定的に捉えると
1. そもそも、分析とか、交渉業務などはバイヤーの戦略的な
業務ではないから統計に任せることには賛成
2. 統計的処置はあくまでも意思決定支援のためのものなので、
こういうロジックを上手く使いこなすことが必要
3. 新人+統計でバイヤーの人件費削減につながる
4. 現在の購買はモジュール化、グローバル化、集中購買化等、
多くの購買パターンが想定できる。
人手による最適化は思い込みに走りやすく、
早期に意思決定を行うためにもこういうロジックや
ロジックを盛り込んだシステムの活用は有効である
ちょっと考えただけでも、
これだけのネガティブ、ポジティブな意見がでてきます。
私自身はこの論文に対しては賛成、反対、どちらとも言えません。
ただ一つだけ言えるのは、「この論文は高すぎる!」ということです。
US $ 30.00ですよ。PDF(215K)で。。
それだったら坂口さんの書籍とか、
弊社の鬼沢さん執筆本「図解でわかる生産の実務 購買管理」とか、
PDF版「世界一の購買部を作ってみろ!」を買いますよね。
この論文の価格も統計学的に分析して値段をつけてくれればよかったのに。
(野町 直弘)
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■ ☆今週のメッセージVol.2
□ 「サブプライムローンとサプライチェーンの共通項」
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先週、サブプライムローン問題と食肉偽装事件の問題の共通点について
ラジオで解説していたのを聞きました。
車での移動中に聞いたので詳細は記憶していませんが、
サププライムローンとサプライチェーンには共通点があり、
バイヤーの業務にも関係すると考えましたので、
今日はその話をしたいと思います。
本題の前に、サブプライムローンについて私の知っている範囲で説明します。
サブプライムローンとは、信用力の低い対象者向けの住宅ロ?ンを指します。
多くの金融機関は、このローン債権を担保証券にして、
ほかの金融商品と組み合わせて販売しています。
金融機関はこの担保証券を組み込んだ金融商品を、
ほかの金融機関に転売し、その金融機関がさらに他の金融商品と
組み合わせて販売することを経て、ローン債権が世界中の金融機関に
散らばったことになります。
サブプライムローン問題とは、信用収縮により、このローン債権が
下落し多くの金融機関が巨額の損失を出したことを指しています。
この構造と食肉偽装事件で問題となった食のサプライチェーンとの間に
下記の共通点が存在します。
1. 多くの階層を経ていること
2. ブラックボックス化してしまい、
一般の人には潜在リスクは理解できないこと
3. 規制や法律はあるがうまく機能していないこと
各々の共通点とバイヤー業務について、私は以下のように考えています。
1.について:
サブプライムローンは、複数の金融機関を経ています。
一方でM社の食肉も
“食肉加工会社⇒コロッケ加工会社⇒問屋⇒スーパー⇒消費者”
という階層を経ていました。
食品に限らず、調達品はいくつものサプライヤを経て
購買側企業に到達するケースがほとんどであり、
この階層をどこまで遡るかは、バイヤーのよく直面する問題です。
2.について:
サブプライムローン問題は、金融専門家にもリスク評価が
難しいくらい複雑に金融商品に組み込まれており、
ブラックボックス化していたことが影響を大きくしたと言われています。
一方で、M社の食肉偽装問題もコロッケの原材料である
食肉加工会社の品質管理については、
スーパーや消費者は知る手段は殆どなかったと言えます。
この問題も1.と同様に、ブラックボックス化してしまった
サプライヤの工程にどこまで踏み込んでいくべきかという
バイヤーの課題の1つです。
3.について:
金融商品に関する規制や法律は存在しますが、
うまく機能していなかったので、
今回のような大きな問題が発生したと考えられます。
一方、食品についてもJAS法がありますが、
やはり同様であったといえます。
例をあげると、医薬品や医療機器は、
仕入れから販売まで薬事法の厳しい規制下にありますが、
必ずしもうまく機能しているとは言えないと考えています。
今後も、金融取引と同様にサプライチェーンは複雑になっていきますし、
それに従ってサプライチェーン内の潜在リスクの見分け方も
難しくなってくると思います。
複雑なサプライチェーンを解析し、重大な潜在リスクを管理することが、
これからのバイヤーに要求される能力の1つではないかと思います。
今回は、サブプライムローン問題とサプライチェーンの共通点から、
バイヤー業務について考えてみました。
(鬼沢 正一)
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