2007. 11.02号(マネジメントが変わらないと購買は変わらないのか?/購買業務の分業体制)

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        「目指せ!購買改革!!」     
      ?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2007. 11.02───

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  ☆今週のメッセージVol.1
   「マネジメントが変わらないと購買は変わらないのか?」
  ☆今週のメッセージVol.2
   「購買業務の分業体制」
  

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■ ☆今週のメッセージVol.1
□ 「マネジメントが変わらないと購買は変わらないのか?」
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前回、カルロス・ゴーン氏の購買改革のトピックを取り上げましたが、
多くの企業では依然購買・調達部門は、やはり従来通りあまり地位が
重要視されていない、というのが実情かもしれません。

よく現場の調達部門の方やネットワーク会で話をしていても、
そういうトピックをよく耳にします。

私は一番の問題は、正に内部の不透明性の問題だと思っています。
「開かれた調達部」「公平かつ透明性のあるソーシング活動」と言われても、
まだまだその実態を外から見た場合に「何をやっているのか、わからない部署」
であり、そもそもノウハウや情報が一人のキーマンにだけ集まるような状況では、
外から認めさせることは無理だと思っています。
逆に中が変わったとしても、マネジメントはその重要性を認識してくれるとは限りません。

それでは「マネジメントが変わらないから購買が変わらない」のでしょうか?

よく現場で「マネジメントの意識を変えるにはどうしたらよいのでしょうか?」
という質問をされます。
非常に難しい問題ですが「マネジメントを変えなくても、購買は変えられる」
というのが私の持論です。むしろ「購買(自分)が変われば、徐々にではあるが
マネジメントや会社全体が変わっていく」と思っています。

一例ですが、最近の開発購買の成功企業例では、全社の仕組み作りではなく、
意識改革を進めることがその成功要因であると実感しています。

具体的に何をやっているかというと、購買メンバーの机を一つ、
開発のフロアに置かせてもらっているだけなのです。
そして、その人間が設計・開発の人間から「こいつは役に立つ人間だ。」
と思わせればいいのです。

また私自身、開発や生産現場の人間と触れ合い、コミュニケーションを取り、
彼らの役に立つ情報を積極的に流し、「私はサプライヤの工場長である」
(今考えてみれば随分レベルは低いものですが)という自負で色々な行動をとり、
彼らから認められる経験を実務の中でしてきました。

一例を挙げますと、新入社員で購買に配属されたものの、何もわからない。
しかし、設計の人間には負けたくなく、彼らの仕事や知識を吸収したくて
色々な会議に呼ばれもしないのに同席したことを記憶しています。
彼らに「木型DR(デザインレビュー)」に出席した初めてのバイヤーだと言われた位です。
最初は殆ど教えられることばかりでしたが、その後、設計・開発部門は
だんだん私を信用してくれるようになったことを思い出します。

「何かがないと始まらない」
「何かができないのは会社の仕組みや会社のマネジメントのせいだ」
と人のせいにするのは容易いでしょう。

でもそこからは何も生まれません。

マネジメントを変えるためには、自分の周りの人間の意識を変えることが条件になります。
自分の周りの人間を変えるのは自分の努力でできることです。
そこから、その関連する人たち、そして段々とその意識改革の輪が広がり、
会社全体を動かすことに結果的につながっていくのだと思います。

「マネジメントを変えるためには?」

まず「自分が周りの人間を変えるにはどうしたら良いか?」と考えるべきではないかと
私は思います。

そしてそれが大きなムーブメントにつながっていくのです。

(野町 直弘)


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■ ☆今週のメッセージVol.2
□ 「購買業務の分業体制」
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先日、知人から購買に関連する分業の例について興味深い話をお聞きしましたので、
今日はその件を話したいと思います。

欧米には、海底ケーブル設備の納期管理を専業としている企業があるそうです。
その企業は、海底ケーブルを購入している企業の依頼を受け、
海底ケーブルの納期管理をしているそうです。
(この仕事は購買プロセスの一部である、納期管理をアウトソーサーとして受けるという
意味で購買BPOの一形態と言えます。)

この企業の強みは、海底ケーブルメーカーで製造や生産管理を経験したスタッフを
雇用しているため、製造工程、構成部品について精通していることです。
従って「ボトルネック工程または入手困難の部品は何か」
「どこを督促すれば納期を遵守できるか」等をメーカー担当者と論理的に
交渉するサービスを提供できるということです。

私の経験ですが、生産増強時や需給がタイトになったときのバイヤーの仕事の殆どは
力技による納期督促です。
例を挙げると、半導体メーカーのバイヤーは、生産増強時の設備の納期交渉に
多大なエネルギーを使っていますし、プラントメーカーも建設ラッシュ時期は
同様と聞いています。
私も、優秀なバイヤーの納期督促にかけるエネルギーを他の仕事に使ったら、
より高い成果が出せるのではと思っていました。
要するに、この納期管理専業会社を使うメリットは、
より確実に納期が遵守できるようになり、優秀なバイヤーのエネルギーを
納期管理以外の付加価値の高い業務に裂くことができると言えます。

私も従来は、納期管理はバイヤーとサプライヤとの間の力関係で決まる要素が高く、
第三者がはいっても効果がないと思っていましたが、購買する商材によっては
効果が出せるのではないかと考えています。
(但し、アウトソーサーが納期を守れなかった時の機会損失に関する取り決め等、
バイヤーとアウトソーサーとの間で取り決めるべき契約関連の課題は多いと思います)

購買BPOというと、成功報酬型のソーシング代行やオペレーション代行を想像しますが、
上述した納期管理専業会社をうまく活用することで、バイヤーも、より付加価値を
生み出せるようになるのではないかと考えました。
同時に、購買業務の高度化、複雑化に従って、
企業の枠を超えた購買業務の専門分業化も進んでいくのではないかと予想してます。

(鬼沢 正一)