2007.11.16号(何故私は購買コンサルンタントになったのか?/CXエンジン選定について)

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        「目指せ!購買改革!!」     
      ?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2007. 11.16──

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  ☆今週のメッセージVol.1
       「何故私は購買コンサルンタントになったのか?」
  ☆今週のメッセージVol.2
   「CXエンジン選定について」
  
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■ ☆今週のメッセージVol.1
□ 「何故私は購買コンサルンタントになったのか?」
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私がアジルを設立したのが2002年3月なので、設立後5年半が経過しました。
前職での購買コンサルタントの経験もあわせますと通算で7年程度、
この仕事に従事していることになります。

一方、その数年前に戦略コンサルや外資系のコンサルをやっていた当時は
購買領域のコンサルテーマは殆どなかったと記憶しております。
何故なら殆どニーズがなかった
(予算がつかなかったという表現の方が正しいかもしれません)からです。

そもそも何故私が購買コンサルタントになったのか?

今回はその話をしたいと思います。

私は日本企業のバイヤーとしての現場経験も持っていましたが、
その後(7-8年前のことでしたが)ある外資系企業の購買部門の立上げを経験しました。
世界的にも有名な企業でしたが、その企業に入って驚くことが多くありました。

それは、
 1.その会社は金融業だったのにも関わらず購買部を立ち上げつつあった
 2.購買部立上げのための方法論が整っていて、(英語でしたが)
 立上げのためにはこうしたらいいよ、という内容が整備されていた
 3.世界中の購買部に私同様、自動車会社のバイヤー&コンサルタント経験者の
 中途採用者が多く存在していた
 4.コスト削減目標は非常に高かったが、達成すると成果も大きかった
 5.購買業務にインターネット技術、ITを活用することが当たり前だった
 6.接待や贈答品禁止を会社のルールとして定め、個人もサインさせられた
等々。。

今まで私の知っていた日本企業の購買部のイメージとは正反対でした。

そこで米国の購買の状況を調べてみると、
 1.ISMという4万人を超えるプロフェッショナルバイヤーの組織が存在する
 2.CPMというプロバイヤーの資格制度がある。
 (その当時はまだ日本での資格取得者は3人だけ)
 3.CPO(最高調達責任者)という役職があり、4000万円近い平均年収である
 4.CAPSという購買関連に特化した調査・研究機関がある
等々。。

私が購買コンサルタントで生計を立て始めた約7年前のころの日本の状況は、
今とは相当異なっており、提案に行っても鼻であしらわれるような状況が相次ぎ、
「で、野町さんを使ったら、いくら下がるんや?」
というのが極めて標準的な対応でした。

ただ、一方で「購買はこのままではいけない」と思われている意識の高い
マネジャー層の方々が存在していることも知りました。
また、先に述べた外資系企業でのバイヤー経験から、
「購買の世界は今後ドラスチックに変わっていく」
ということを認識したのも、その頃でした。

これらの経験から、私が考えたのは「私が日本の購買を変えてやろう!」
ということでした。

非常に身の程知らずの話だと思いますが、今まで述べたような日米のGAPを
どうにか縮めていきたい、と思ったのです。

その当時の日本企業はバブル崩壊、金融危機の影響から長期の景気低迷、
デフレ経済環境でした。
私は購買力の日米の格差が90年代日本企業の業績を悪化させた
一つの原因となったのではないか?と思っています。
また、そういう日本企業の中でも購買部門の相対的地位は
高いものとは言えなかったでしょう。

こういう環境下、日本の購買を変える(近代化する)ことで、
「日本企業を元気にし、購買部門の地位向上を支援したい」という思いから、
私は購買コンサルタントになりました。

今考えてみると、その当時の思いが達成できたかどうか、
やや疑問はあるものの、今でも同じ仕事を続けていることは事実だと思っています。

(野町 直弘)

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■ ☆今週のメッセージVol.2
□ 「CXエンジン選定について」
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最近の新聞記事で、防衛省の元事務次官が、GE社の日本代理店である
M社からの接待の見返りとして、便宜供与をしていたおそれがあることが
話題になっています。
私も自分の仕事に関係するので、興味を持って記事を読んでいます。

一連の記事を読んでいて、バイヤーであれば次の2つについて疑問に思う
のではないかと思いました。
 1.なぜM社と随意契約をしようとしていたのか?
 (随意契約とは簡単に言うと、
 “M社だけから見積を取り契約すること=競争入札にかけないこと”です)
 2.なぜ防衛省はGE社のCXエンジンを選定したのか?

1つめの疑問ですが、GE社のCXエンジンの代理店がM社(以前はY社)
であるためです。
談合事件の反省から、昨年、財務省より一般競争入札促進の通達が出たことを受け、
防衛省はCXエンジンの競争入札を試みたようでした。
しかし、入札に応じた企業は無かったため、M社に対する随意契約に
切り替わる予定でした。
即ち、今回のように、メーカーと機種が決定され、代理店も決まっている
案件については、競争入札方式はほとんど効力がないと言えます。
新聞等でも「防衛省における随意契約の多さが問題」とのコメントがありますが、
今回の事件においては、随意契約を競争入札に変更しても
本質的な問題の解決にはならないと思っています。

次に2つめの疑問の「なぜGE社か?」ついては、
2003年の防衛庁幹部が出席した「装備審査会議」にさかのぼります。
当時の防衛庁は、海外のメーカー3社より提案を受け、GE社が優位との判断に
いたったと報道されています。
この会議で、「候補3社の提案をどのような指標で評価しCXエンジンに選定したのか」
つまり、「その選定時の指標と指標のウエイト付は妥当なものだったのか」、
「恣意性はどのように除外したのか」を究明することが、
本質的な課題であると思っています。

防衛装備品ですので、
・防衛戦略上の優位
・機種の信頼性
・CXエンジン搭載航空機との関係
・メンテナンス
・調達コスト、ランニングコスト
などを総合的に評価し選定されるものと考えています。
(しかし、その際の議事録は作成されておらず、現状では、実態は不明のようです)

現在、東京地検特捜部が防衛省のCX選定時の資料を分析しているようですが、
機種選定の経緯にどこまで踏み込めるかを興味深く見ています。

私も以前、ハイテク設備の調達に関わったことがあり、
事務方のバイヤーが機種選定に踏み込むことの難しさを思い出して
今回のメールニュースを書きました。

(鬼沢 正一)

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