2007.05.02号(供給リスクマネジメントについて/購買を変えるムーブメント)
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「目指せ!購買改革!!」
~調達購買マネジメント最前線~≪特別号≫
────────────────────────2007. 5 .2────
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☆今週のメッセージVol.1「供給リスクマネジメントについて
~信越化学工業直江津工場爆発事故について思うこと~」
☆今週のメッセージVol.2「購買を変えるムーブメント」
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■ ☆今週のメッセージVol.1
□ 「供給リスクマネジメントについて
■□ ~信越化学工業直江津工場爆発事故について思うこと~」
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新聞、テレビ等の報道でご存知の方も多いと思いますが、
3月に信越化学の直江津工場において爆発事故が発生しました。
この工場では主に医薬品原材料である「セルロース誘導体」の
国内供給のほとんどを担っていたため、医薬品の生産に支障が
出るおそれがあるとのことです(ある新聞記事には、セルロースに
関する医薬品各社の1社購買体制が、問題を難しくしているとの
コメントがありました。)。
私はこの報道を読んで、14年前に発生した事故を思いました。
当時の住友化学の新居浜工場では、
半導体の封止材に使うエポキシ樹脂を生産しており、
シェアは世界の約60%を占めていました。
このため、爆発事故により、世界中の半導体メーカー及びパソコンを
はじめとする半導体ユーザーに多大な供給問題を引き起こしました。
当時、私は半導体ビジネスに関わっていたため、
この供給トラブルに直面しましたが、半導体関係者の混乱ぶりは
大変なものであったと記憶しています。
半導体メーカーの中でも、
住友化学のエポキシ樹脂に依存していた企業と、
事故の以前から社内の開発リソースをかけて、他社と材料の
共同開発をし依存度の低かった企業とでは、生産規模の明暗が
分かれたようでした。
私もこの事故を通して、ハイテク産業のもろさと同時に
企業基盤を支える調達の重要さを知りました。
複数社購買には、安定供給というメリットもある反面、
デメリットもあります。
1つには、数量の分散によるコスト増です。
もう1つは、新サプライヤ及びその製品評価のコストです。
(特にハイテク製品の場合は、社内リソースを使っての共同研究が
必要なケースもあり、このケースではかなりのコストの発生が
見込まれます。)
製品評価や共同開発が必要なケースにおいては、
バイヤーに供給リスクの認識があっても社内の技術スタッフが
協力してくれないために、なかなか進まないことが悩みの種です。
しかし、これは原材料供給停止に伴う売上減(機会損失)と、
社内リソースを含むコスト負担とのトレードオフであり、
供給リスクマネジメントの課題です。
リスクマネジメント上は、重大なリスクを伴う購買品目を洗い出し、
それぞれについてのリスク発生時の損害額と発生確率を推定した上で、
ダメージの大きな購買品目(=ハイリスクの購買品目)から順に
対策を立案し実行していくことが必要であると考えられます。
バイヤー側から開発部門にこのような提案をするケースは
未だ少ないかも知れませんが、
私は「強い調達」とは、これができる部門であると思っています。
今回の話と関連しますが、2007年3月にレポート第4弾となる
「購買業務におけるリスクマネジメントについて」を
発表しています。
購買業務におけるコストリダクションとリスクマネジメントは、
車の機能にたとえると、アクセルとブレーキのような関係である
と考えています。
つまり、アクセルを全開にしてコストリダクションを追求したと
しても、一方でブレーキを適度にきかせないと品質トラブルを
起こしたり、法令違反を侵したりする可能性があります。
極端な例では、それまでのコストリダクションの成果を上回る損失を
出してしまうことさえあります。
購買というとコストリダクションの数字が注目されがちですが、
中長期的に成果をあげている企業の調達部門は、
アクセルとブレーキのコントロールが上手なところだ
と思っています。
今まであまり注目されたいなかった購買のブレーキ機能について、
読者のお役に立てていただくことを目的として本レポートを
執筆しました。
是非ご一読をお願い致します。
レポートのダウンロードはこちらから
⇒http://www.agile-associates.com/2007/03/post_15.html
(鬼沢 正一)
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■ ☆今週のメッセージVol.2
□ 「購買を変えるムーブメント」
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先般、坂口孝則さんの「調達力・購買力の基礎を身につける本」
(日刊工業新聞社)の出版の件を取り上げました。
ところがその翌日に購買関連の本が出版されました。
「強い調達」東洋経済新報社(アクセンチュア戦略調達グループ著)
実はその他にも当社のメンバーに購買関連の入門書の執筆の依頼が
来ています。
また坂口さんはこれからも何冊かの執筆を手がけているようです。
前に、私の調達・購買ブログに購買関連の書籍の紹介を
したことがありますが、調達・購買関連の書籍は世の中に
あまりないのが現実でした。
それがこの短期間に多くの書籍の発表がある(予定されている)
という状況で、私は非常に喜んでいます。
(本来なら私が執筆したものがなければならないのでしょうけどね。。
どこか出版社の方いらっしゃったら書かせてくださいませ。)
今年の初めに会社の方針とは別の調達・購買の活動に寄与する点で、
新たにいくつかの活動目標を設定しています。
1.調達・購買にかかる新しいトレーニングプログラムの開発と
資格取得の支援を具体化します。
2.購買ネットワーク会の更なる発展に向けて年次大会を
実施します。
3.大企業だけでなく、中堅・中小企業を対象に
調達購買マネジメントの普及を実現します。
4.調達・購買関連のアカデミックな研究事業を積極化し、
随時情報発信を行います。
ただ、ここには上げていませんが、
私の今年の最大の目標は、「調達・購買の世界を内から(購買)だけ
ではなく、外(購買以外)からも盛り上げていく!」ことです。
そういう点から、このような書籍の出版や多くの書籍が本屋さんに
並ぶようになれば、本当にこの目標とする世界が実現しつつある、
と言えると考えています。
我々のような調達・購買領域を得意とするコンサルティング会社や
サービスの提供側も、長い間この領域で頑張っていらっしゃる方は
素晴らしい方ばかりですし、何か「購買を変えるムーブメント」を
実現させようとしています。
ある方は、購買業務の全業務を棚卸しし、
標準化しようと頑張っていらっしゃいます。
ある方は個人で起業し、自分のノウハウで多くの企業を支援しよう
としています。
ある方は顧客の立場にたった新しいサービスの立上げを
目指しています。
またある方は購買担当者の為の資格制度を立ち上げたり。。
一方で顧客側も、購買部だけではなくマネジメント側も
本当の意味での「調達・購買力」の強化に向かっているように
思います。それは決して短期のCR(コスト削減)だけではなく、
企業としての「調達・購買能力」の強化であり、
正にアジルアソシエイツが提唱する
「調達購買マネジメント」の構築と定着を志向しているのです。
最近は特にこういうマネジメント層の方の思いを感じる機会が
増えているように感じています。
正に購買を「内からも外からも変えるムーブメントの息吹」が
感じられる今日この頃です。
頼むからこのままブームで終わらないように。。
(野町 直弘)
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