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「目指せ!購買改革!!」
?調達購買マネジメント最前線?
────────────────────────2007. 3 .16────
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☆今週のメッセージVol1「購買部の2007年問題」
☆今週のメッセージVol2「ものづくりにとって重要なこと
?構内請負の記事を読んで考えたこと?」
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■ ☆今週のメッセージVol1
■□ 「購買部の2007年問題」
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数年前から「2007年問題」が巷間でよく話題になっています。
2007年問題とは?
「団塊の世代、中でもこの世代でもっとも多い1947年生まれの
労働者たちが、2007年に60歳を迎え定年退職することにより、
企業活動に大きなダメージを与えるという問題をさします。
この問題は、2005年度版の『ものづくり白書』でも取り上げられ、
全産業の約22%、特に製造業では約31%の企業が危機感を感じている
との意識をもっているとされています。」
最近コンサルティングのテーマや顧客との会話の中でも、
このような課題に関するディスカッションが増えてきています。
よくこのブログ(メルマガ)でも取り上げますが、
「(特に日本の)購買業務は属人的な世界であり、熟練工の世界である」
という点から、購買部でも2007年問題が今後大きな問題になっていく
と思います。
購買業務のスキルセットは従来、「先輩の仕事のやり方を隣で
見ながら盗むもの」という世界だったと思います。
一方で、
・購買業務自体の複雑性や求められる機能が高まってきていること、
・90年代後半以降、リストラが進行し、「面倒見の良い先輩」が
もう既にいなくなってしまったこと、
・バイヤーという人たちに求められるスキルは、新人でもベテランでも
その基礎的な能力は変わらないこと、
等の理由により、既にこの「先輩の仕事のやり方を隣で見ながら盗む」
ことがやりにくくなってきています。
今までの日本経済を背負ってきたのは、いい意味でも悪い意味でも
間違いなく団塊の世代です。
彼らが大量退職した後、熟練バイヤーのやり方を継承することが
一層できなくなります。本来であれば基本的な、
「分析→サプライヤ評価→サプライヤセレクション→契約業務」等、
一連の購買プロシージャーすら実経験を持たないバイヤーの
「迷える子羊化」が、進行することは間違いありません。
こういう状況下、企業の購買マネジメントはどうしていけば
良いでしょうか?
これも繰り返しになりますが、一つは社内の教育体系の整備が
上げられるでしょう。但し教育体系と言っても、いろいろな方法が
あります。
資格取得制度の活用、社内の勉強会、外部の教育等々。
私は、現状の教育で足りないものは2点あると考えています。
一つは「体系的な理解」、もう一つは「その場だけの勉強にしない」
という点です。
「体系的な理解」という点については、
バイヤーたるもの、何を目的にどのような知識・能力が必要なのか、
それが実際の仕事のどういう領域でどのように役に立つのか?、
という視点から網羅的にそれを理解させるということです。
「下請法」、「VA・VE」などのプログラム自体は大切ですが、
・何故そのプログラムが必要なのか?
・法律であれば下請法だけでなく、その他購買関連の重要法規として
どのようなものがあり、契約業務との絡みでどのような考慮留意を
しなければならないのか?
等を体系的に教えてくれる書物、プログラム等があまりにもプアで
あることは間違いありません。
「その場だけの勉強にしない」という点については、
教育方法を変える必要があると思います。
通常教育は学校方式の座学であるケースが多いです。
一方でビジネススクールでは、ケーススタディ等を通じ疑似体験をさせ、
そこから最適解を導き出すようなプログラムを実行しています。
属人的な業務であればあるほど、このような教育方法は有効だと思います。
そういう点から、ケーススタディ、ワークショップ方式のセッション、
ロールプレイ、シミュレーション、等を活用して従来のOJTに代替する
ような教育方法を多用することは非常に有効だと思います。
ちょっと宣伝になりますが、
アジルのトレーニングは正にこのような疑似体験を多用する教育方法を
採用しています。
教える方も同じケースで色々な考察、結果がでてくるのでとっても
面白いです。
企業の皆様にも是非このような教育方法をトライして、2007年問題解決
の一助にしていただければと思います。
(野町 直弘)
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■ ☆今週のメッセージVol2
□ 「ものづくりにとって重要なこと
■ ?構内請負の記事を読んで考えたこと?」
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最近、某社の工場で働く構内請負会社の社員の方が、
労働条件について国会で話をするという新聞記事を読みました。
今回は、構内請負について思ったことを書きたいと思います。
記事の内容は、「その請負会社の社員の方は、約7年発注側の工場で
働いており、高品質の製品作りに貢献しているという自負はあるが、
待遇は改善されておらず、また、雇用形態も不安定であり改善を
発注側企業に求めている」というものでした。
?「構内請負」とは、
製造業の現場で一括して構内作業を請け負う契約形態であり、
発注側企業の責任者が、構内請負会社に対して仕事を委託する
ものです(派遣契約は、発注側企業の指揮命令者が
直接派遣スタッフに指揮命令するのに対し、構内請負の場合は、
発注側企業が構内請負企業に対して委託し、作業者は請負企業の
指示に基づいて作業するという点が根本的に異なります。
最近は、実態は派遣でありながら契約のみ請負とする"偽装請負"の
摘発も増えているようです。)。?
近年、製造業の現場で働く構内請負作業者はかなり多いと
聞いています。製造現場において正社員を雇用するのではなく、
構内請負会社に委託する理由は、比較的コストが安いことと、
人件費の変動費化が図れることがあげられます。
しかし、構内請負化にはプラス面と共にマイナス面もあります。
マイナス面としては、構内請負会社に委託した場合は、
人の入れ替わりが増える傾向にあり(記事の方のように長く
務める方もいますが)、1.スタッフの習熟度が上がりにくいこと、
2.製造現場の視点からの改善が進みにくいことがあげられます。
私は特に、中長期的には後者は問題ではないかと考えています。
私が生産工場で働いていた経験から申し上げますと、
標準化された図面の通りにラインに物を流すことだけが、
ものづくりの仕事ではありませんでした。
製造の現場で様々な改善活動があり、それが生産技術や
設計に反映され、効率化や高品質化につながっていたと
記憶しています。
たとえば、金型を使って製品を作る工程では、
抜き型の精度改善により樹脂バリを減らし、次工程での
工数削減と品質を向上させる活動を製造現場で実施して
いました。
当時は、現場から生産技術や設計へのシステマティックな
フィードバックはありませんでしたが、
私は、「設計者がCADで優れた図面を書くだけでは、
ものづくりはできない。製造現場の質の高い労働力が
製品の高品質を支えている」と感じました。
(全ての構内請負を同じように見ることはできませんが)、
コストの低減と人件費の変動費化の反面、
構内請負化により表面化していない損失もあるのでは
ないかと思います。
記事の例にあるように、自分の労働を安く買い叩かれる中では、
モチベーションも上がらず、改善案も出にくくなるのは
容易に想像できます。
構内請負化をやめて正社員にする方法を選択する企業も
ありますが、私は、構内請負会社で働く人のモチベーションを
あげるようなバイヤー企業の施策があってもよいと考えています
(例を挙げると、バイヤー企業がサプライヤにおける従業員の
意欲や提案を正当に評価するようなことです)。
これからのバイヤー(またはバイヤー企業)にとって、
表面に見えるコスト以外の要因も正当に評価し、
サプライヤとの関係を構築することが重要になってくる
のではないかと思いました。
(鬼沢 正一)
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