人は生涯、何人の「人」と出逢うのだろう?
皆それぞれ、置かれた立場・環境によって違いはあると思うが、相当数の「人」に出逢っているはずである。学校・職場・パーティー・紹介・ビジネスの場など…….
私はこれまで多くの「人」に出逢い、色々な事を学んで来た。そして気付かされてきた。
これから印象に残っている「人」との出逢いを紹介して行きたい。
とあるレストラン。名前を言えば誰でも知っている有名店。週末の夜ということもあり、店内は物凄く混雑していた。スタッフの顔にも余裕が無い。ウェイティングスペースでの待ち時間は既に30分。我慢出来ずに帰ろうとするお客様も出始めたその時、店長らしき人物が、ジュースを片手にお客様にお詫びを申し上げながら、色々な話を始めた。
爽やかな笑顔、そして流暢な会話、何よりびっくりしたのはお客様と呼ばずに、ウェイティングリストに書き込んだお客様の「名前」で会話しているではないか。。。
私はその場で店長のファンになった。
とかく有名店となると、ウェイティングは当たり前。しかし、待ってまでお店に行きたくなるには、何か理由があるはずだ。そう、食事の味以上にこの店長の魅力がお客様を集めていたのである。その後店長とは仲良くなり、今では家族ぐるみの付合いをさせて頂いている。
店長曰く、「店の敷居を潜ったら、ウェイティングの方でも既に私達のお客様であり、待っているお客様の立場で考え、接客する。それがプロである」と…….
私は以前、ある上場会社の子会社を任されていた。ボスからは「この会社の運命はお前に懸かっている」と言われた。そんなことは百も承知であり、期待の大きさも肌で感じていた。第4回目の取締役会の席だったと思う。目標数字は何とかクリアしていたものの、新会社初の決算日を迎えることもあり、社員全員休む暇も無く働き尽くめだった。
ボスからの一言で私はハッとした。「経営者なる者、会社の業績、存続、成長、株主を守ること以上に大切な事は、社員そして社員の家族を守ることだ」と…..
会社の成長の為にはやむ無しと、社員には土日出社も命じ、売上を伸ばしていたのである。翌日から私は、20:00以降の残業を禁止。土日出社も禁じ、十分な休息と家族サービズに専念するよう指示を出した。結果、売上も順調に伸び、社員の顔と目も変化した…..
以前、私が勤めていた会社は地下鉄の某駅にある。会社までは徒歩約5分。地下鉄の出口から会社までの道程は、たばこの吸殻が沢山捨ててある。私も喫煙者であるが、あまりの吸殻の多さに嫌気がさしていた。私のいたセクションは喫煙者も多く、冗談で「今度道の掃除をするか、皆でお金を出して灰皿を置かないか?」と話をした。皆、自分はポイ捨てしていないこともあり、あまり乗り気では無かった。そんなある時、会社の総務で私と同じ考えを持って入る者が立ち上がり、会社全体で道の掃除をするプランを持ち出した。
当然、会社でも承認され、20人の当番制で駅から会社までの掃除が、毎週月曜日に実施されるようになった。後で聞いた話では、発起人はヘビースモーカーだった……
直ぐに行動する勇気を学んだ。
あまり良い例ではなかったかも知れないが、「人」から学ぶことは多く、教科書では教えてくれない、非常に大切なことを学ぶことが出来る。部下のちょっとした仕草から学ぶこと。恋愛から学ぶ異性特有の気持ちや考え。ビジネスの場でお客様から教えて頂く事……. シチュエーションは様々であれ、人の言動や行動から学ばされることは非常に身に染みる。
「人」は教科書では教えてくれない、最大そして最強の指導者である。。。
これからも、人との出逢いを大切にして行きたい。