第22回 個人輸入の薦め

十年一昔という言葉の通り、10年前は何か必要なものがあれば、お店に出向いて(探して)買い物をしていました。気に入った商品が無いと、丸1日足が棒になるくらい歩いてへとへとになりながら家路につき、疲労感のみを味わう、と言うこともよくありました。
現在では、私の買い物の方法は10年前とは変わっています。一つ目はこれまで通りお店で購入する方法、2つ目はインターネットで購入する方法です。着実に良いものを安く買うには、実際に商品を見て気に入ったものをインターネットで購入する、というのが一番賢い方法なのかもしれません。(インターネットで購入できればの話ですが・・・)


 インターネット上での商品売買は、日本でも最近は活発に行われるようになり、YAHOOオークションでは2000年8月に出品件数が100万点を超えた以後増え続け、現在は600万件を越えるに至り、4年間で約6倍となっています。
 日本国内でも、インターネットで購入する方法はオークションだけでなく、企業独自で行っている通販サイト等様々なものがありますが、そのようなサイトには、日本だけでなく世界中のどこへでもアクセス可能です。アドレスが分からなくても検索にかけることで、即座に希望のサイトを見ることができます。


 私には数年前からずっと欲しかった、ある「物」がありました。お店で数ヶ月調査した結果、“○○メーカーの××モデル”が欲しくなってしまったのです。これはアメリカ製で、日本製のものと比べるととても高価(およそ倍)でとてもすぐに手が出る代物ではありませんでした。日本車にないものを求めて、高価だけど外車が欲しくなる・・・というのと同じ心境でしょうか。
 日本製のものと比べて倍となれば、真剣に貯金をして買うか、あきらめるか・・・2つに1つと思っていたのですが、ある日、そのメーカーのホームページを見て、目を疑ってしまいました。そこに、メーカー希望小売価格なるものがあり、なんと当時のレートで計算したところ、日本で表示されていたメーカー希望小売価格よりおよそ35%も安かったのです。この差は、アメリカまで十分往復して、しかも遊んで帰ってこられる程の価格差でした。
 通常日本では、この「物」は10%の値引きは可能、相当なコネクションを使っても20%値引きしてもらえるかどうか、という商品です。日本とアメリカのメーカー希望小売価格が既に35%もあり、もしアメリカでの値引き交渉に成功すれば、倍額の差がある日本製のものと価格的にあまり差がなくなってくる計算でした。
 日本とアメリカとで同じ商品で価格差があるなら、他の国でも価格差があるはずで、メーカー希望小売価格が安い国で交渉するのが一番安くなるのでは?と考えました。このメーカーは代理店制をとっており、HPから情報を得られた全世界の代理店(日本を除く54社)にe-mailで見積もり依頼を出してみました。
 見積り依頼を出して分かったことですが、このメーカーは代理店との契約で取引は自国内のみという制限をかけており、返信があったのは、「メーカーには黙っていてね」という不良代理店10社程でした。
 結果はやはりアメリカが一番安く、数回にわたって交渉しましたがメールのみでのやりとりもあって、約6%の値引きとなりました。後にアメリカに住む日本人より聞いた情報では、通常アメリカではこの「物」の値引きはあまりしないようで、メールのみで値引きを引き出せたことにかなり驚いていました。

 結局私は、この「物」をアメリカから買ったことによって、空輸送料等を含めても、日本で4割引で買ったのとほぼ同額の、日本では考えられない金額で手に入れることが出来ました。
 個人輸入をするには手間がかかりますが、この「物」のサイズは余り大きくなく、送料がそれほどかからないこと、関税がかからない商品であったことで、かけた手間以上の結果を得ることが出来ました。届いた商品にも非常に満足しており、今では私には欠かせない物となっています。
 もし、欲しいものが外国産の物でモデルの個体差がさほど無く、送料があまりかからないとしたら・・・個人輸入を考えてみてはいかがでしょうか?
 但し、通常は着金後の発送になるため、リスクがあることも忘れずに。支払方法(日本から海外送金できるか?)や相手の信頼性(ホームページはあるか?通知してきた連絡先がホームページの記載と一致するか?請求書は会社フォーマットになっているか?等)をきちんと確かめる必要があるでしょう。新品と中古を同時に扱っている所であれば、製造番号を事前に入手して確認をした方がよいかもしれません。
 一度試すと、皆にも薦めたくなりますが、個人輸入ではありえないボリュームを輸入した場合は、業者ととられ、税金をがっぽり取られるようですので、余り欲は出さぬように・・・。
 様々にある購買形態の中で、自分の納得できる方法での買い物を楽しんでいきましょう!!


2004年9月
柚木