第8回 コンサルタントを使う時(その2)

その2) 顧客企業の立場から

前回はコンサルタントの立場から、顧客企業の望ましいプロジェクトメンバ?像について述べました。コンサルの立場だけを一方的に示すのは押し付けであり片手落ちですので、今回は顧客企業の立場から、「このようなコンサルを使うべき」という望ましいコンサルタント像を挙げます。

1.望ましいタイプ

コンサルタントとして望ましいタイプを挙げます。(Cタイプとします)もちろん前提として、コンサル対象の専門分野、例えばシステム構築や財務・会計、購買、マーケティング、事業戦略等の個別分野に関する知識・経験は備えている、とします。

<Cタイプ>(重要度が高いと考える順に並べています)
?発言の一言一言に論理が通っている。説得力がある。
?顧客の話や他人の意見を良く聞く。自分の意見に凝り固まらず、考え方に柔軟性がある。
?可能なことと不可能なことを区分し、出来ないことは出来ないとはっきり言う。不都合なことが予見されたら早期に報告し対応策を考える。
?顧客企業の一員という意識でプロジェクトに従事する。「教えてやっている」というような態度は間違っても採らない。
?業界の専門的な知識、事業のおかれた環境などについての知識吸収が早い。積極的に理解しようとする姿勢を持っている。
?コンサルタントとしてプロジェクトの経験があり、コンサル的な考え方ができる。
?一般企業に勤務した経験があり、企業の一般的な風土や現場の業務感覚をしっかり持っている。

2.望ましくないタイプ

敢えてCタイプの裏返しの表現を使いますが、コンサルタントとして望ましくないタイプを挙げます。(Dタイプとします)

<Dタイプ>
?発言内容に論理が通っていない。説得力が無い。
?柔軟性が低く、顧客や他のメンバーの意見をあまり聞き入れようとしない。視野が狭く自分の意見に固執する。
?出来ないことも出来そうだと言う。都合の悪いことを後になってから言う。(作業が遅れる、期待した成果に達しない等)
?顧客の立場に立って仕事をしていない。「お客さん」的姿勢でプロジェクトに参加する。あるいは高慢な態度で接する。
?業界の専門的知識をなかなか理解できない。理解しようとする姿勢が感じられない。
?コンサルタントとしての経験が無いか浅いため、サラリーマン的発想を捨てきれない。
?一般企業の勤務経験が無いか浅いため、現場の業務感覚に乏しい。極端な場合学生の延長気分で仕事をする。

顧客企業としては、プロジェクトが始まるまでどんなコンサルタントがやってくるかわからないのが実情ですが、なるべく事前にミーティングなどを持ってメンバ?と話す機会をもつようにすべきと思います。面接をしても良いでしょう。後になってそのプロジェクトにDタイプが多く、Cタイプがいない、少ない、と認識した場合は、どんどんメンバ?チェンジを要請すべきです。プロジェクトの成否に関わります。それに対応できないコンサル会社は以後使わないほうが得策です。お金をドブに捨てないためにも事前にチェックできるのが一番ですが。

もちろん、コンサル側からも顧客企業に対して、前回述べたBタイプのメンバ?をAタイプに代えてほしい、と要請することもあります。プロジェクトの成功をコミットするならばそれはお互いさまです。

前回冒頭の繰り返しになりますが、今後コンサルタントを使う場面が訪れた時に、以上を参考にしていただければ幸いです。当然ながらどの企業でもコンサル会社でも人的資源には限りがあり、この通りにいかないのは事実ですが、今回は敢えて理想形を挙げさせていただきました。

コンサルティングのプロジェクトとは、期間を設定し、目標を設定し、顧客企業と一緒に努力して智恵を絞り、設定した目標の達成やビジネスの変革をもたらすことによって付加価値を生み出していく、それは全く容易ではないのですが、そういうものと考えます。容易でないからこそ、お互い厳しい態度で臨んでいく必要があると思います。


2003年1月
大塚 真太郎